現在、サントリーの全工場において展開されている「行動安全訓練」を、登美の丘ワイナリーでも場内に従業する全てのメンバーが合格するように訓練実施中です。
よく駅のホームで駅員さんがやっているのを見ると思いますが、「指差呼称確認」という確認の動作には、確認するべきことを言葉にして、指でさした状況を見て確認し、「ヨシ!」と声に出して自分に言い聞かせることで、確認を確実なものとするということだそうです。人間はその認知特性上、指で差しながら声を出している時に、他のことを考えるのは非常に難しく、その指差しの瞬間は注意や意識が目の前の確認に集中しているということだそうです。
行動安全訓練は、訓練スペースに設置された数種のブースで課題とされた確認を「指差呼称確認」して、次々と移動して確認作業を行ない、決められた時間内で終了しないといけません。
それぞれの工場の実態に合わせて確認訓練の課題のテーマ設定するのですが、登美の丘ワイナリーで設定した「輪止め確認」は、ちょっと特異なものと言えるかも知れません。
登美の丘ワイナリーは、「登美の丘」という、丘というよりもむしろ山の中に位置するので、場内に平坦な水平なところは限られており、そのほとんどの路面は傾斜しています。しかも、150haの広大な場内を移動するのに社用車は欠かせないため、車の停車については「輪止め」をすることが安全を確保するうえでは欠かせません。平地にあるサントリーの他の工場ではまず考えなくていいことですが、登美の丘ワイナリーでの安全を考えるうえでは重要なポイントなのです。実際に過去に停めたはずの車が無人で逸走したことがあったそうです。
場内の道路の横断時を想定した左右確認の訓練なども含めて、テキパキとしっかり声を出して指差呼称して確認するべきミッションを決められた時間内で進めないと、試験官から「合格」はもらえません。
中には何回やっても「不合格」になるメンバーもいて、その日のうちに合格できないメンバーは、別の日に追試になります。決して「訓練で合格すること」が目的ではなく、作業や場内の行動において、安全を確保できる「指で指し示す間」を、日常的に無意識にできる「安全体質人間」を作ることが大切だと安全事務局のメンバーはフォローしてくれます。でも、きちんと合格するまで許してもらえません。
登美の丘ワイナリーでは、全ての各持ち場の現場ごとに「行動安全訓練」が現在進行中です。
もちろん渡辺所長も率先して訓練に参加し、2回目で合格しました |
所長はよく朝礼で「健康第一・安全第一」ということを繰り返し言って意識喚起し続けています。
登美の丘の自然の中で土づくりから自らの手で行ない、ぶどうづくり・ワインづくりに取り組む登美の丘ワイナリーも、製造工場ですから実際に様々な機械類があり、様々な現場に様々なリスクがあります。その中での安全教育・安全管理に登美の丘ワイナリーは一丸になって取り組んでいます。
その意識の高まりもあり、労災撲滅を目指す登美の丘ワイナリーは、2年連続「労災ゼロ」を達成しており、サントリー社内でも表彰されています。しかも、3年前の労災は、場内清掃中に不意に草むらから出てきたスズムバチに刺されて病院に診てもらいに行ったという、いかにも自然の中の登美の丘ワイナリーらしいというか、サントリーのほかのウイスキー工場やビール工場ではあまり考えられないケースと言えるかも知れません。
その後「労災ゼロ」は、現在も進行中です。
訓練をして合格したら、ついつい実際にやってみたくなるものです。
合格したメンバーは、さっそくいろいろなところで「指差呼称」をしながら、なんでも確認して「●●確認、ヨシ!」という声が、あちらこちらから聞こえています。
今回は、ぶどうづくり・ワインづくりとはちょっと離れたお話でしたが、登美の丘ワイナリーが高品質なワインづくりに取り組んでいるベースにあるものを感じていただけたら幸いです。