前回もご報告しましたが、今年の登美の丘ワイナリーの梅雨は、しっかり「梅雨」だと認識できるくらい雨の日が続いています。早く「梅雨明け」して欲しいものです。
この時期は、ぶどうの小さな実が生育していく時期にあたり、雨の多い日本でのワインづくりにとって、ぶどう樹をいかに健全な状態で生長させてあげるか、そのための対策をどのようにするかということは非常に重要なことなのです。
登美の丘ワイナリーでは、たとえば、垣根仕立てのぶどう樹の畝の真上にかまぼこ状のビニル製の雨よけを設置しています。「トンネル」と呼ぶこの雨よけによって、ぶどう樹全体を雨から守っているのです。
余談ですが、梅雨の前のトンネル設置作業を5月にご報告したときの画像と、同じ場所の画像を比べていただくと、ぶどうもかなり生長したことがお分かりいただけるかと思います。
この「トンネル」は、確かに横殴りの雨や台風の際には無防備になることは否めませんが、たいていの場合、およそ雨の8割方は真上から降ってくるため、このトンネルを設置することよって、ぶどうの品質はグンッと高まりました。
このトンネル方式は、垣根仕立てのぶどう樹とともに、一部の棚仕立てのぶどう樹にも設置しています。
垣根仕立てと違って、棚仕立てのトンネルは、ぶどう果実に対してより近い距離にあるため、よりぶどう全体を守っている印象を強く感じます。
但し、この「トンネル」の弱点は、強風に対して弱いこと。特に、八ヶ岳おろしの風が通り抜ける登美の丘ワイナリーでは、それぞれの区画のぶどうの畝の切り方によって、「トンネル」を設置できない区画もあります。そんな垣根仕立ての区画は「小トンネル」と呼ぶ「グレープガード方式」を採用しています。
これは、ご覧になってお分かりのように、「トンネル」がぶどう樹全体を守るというのに対し、
「小トンネル」は、ぶどう果実だけでも守ってあげようという方法です。
今年の梅雨はしっかりと雨が降り続き、日照量も少なく推移している中で、ぶどうの生育について心配ではありますが、前回ご紹介した「暗渠排水」や「草生栽培」、そして「トンネル」「小トンネル」など、様々な知恵と工夫でぶどうを守る取り組みを登美の丘ワイナリーの畑の現場では実践しています。
栽培リーダーの吉野は言います。「良いワインをつくるためには良いぶどうの果実が必要です。でも、そのためには、そのおおもとである土やぶどう樹や栄養を作ってくれる葉っぱが肝心なんです。」
つくづくワインづくりって、奥が深いです。
ぜひご来場いただき、その様子ご覧いただけましたら幸いです。