玉川大学芸術学科卒業。武蔵野音楽大学大学院修了。2003年度横浜みなとみらいホール・オルガニスト・インターンシップ・プログラム修了。国内および欧米各地で演奏活動を行う。スペイン各地の歴史的な楽器を訪ね、スペインのオルガン音楽の研究をライフワークとしている。邦人作品にも積極的に取り組む。2020年に初のCD『星月夜』(朝日新聞特選盤、レコード芸術準特選盤など掲載多数)をリリース。現在、明福寺ルンビニー学園オルガニスト。武蔵野大学非常勤講師。元築地本願寺副オルガニスト。La academia de órgano español主宰。(一社)日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。 http://minekokojima.com
聴きどころ
出演者メッセージ オルガンよ、歌え!
今回は「歌」をテーマにプログラムを考えました。 F. クープラン(1668~1733)が活躍した17世紀当時のフランスは、ミサの中でオルガンと聖歌を交互に演奏していました。ミサの冒頭に弾く、豊かな響きの「プラン・ジュ(満ちる音)」からコンサートをはじめます。「クロモルヌのレシ」ではフランス特有の歌い回しを、続いてトランペット管が明るく高らかに歌う「ディアログ(対話)」をお楽しみください。 16世紀のスペインで使われていた「シフラ」と呼ばれる楽譜には下からバス、テノール、アルト、ソプラノ、と4本の線が引かれ、その上に音が数字で書かれていました。コレア(1584~1654)のオルガン曲を、管弦楽と声楽で演奏しているのを聴いたことがあります。4声それぞれが伸びやかに歌って「ああ、こんなふうに弾きたい!」と思ったものです。こうして考えてみると、ティエント第1番は重厚な合唱曲のようです。 ロンドンデリーは北アイルランドの港町です。一度聞いたら忘れられないメロディにはダニー・ボーイなど100曲以上の異なる歌詞がつけられて、世界中で歌われています。 おしまいに、19〜20世紀にかけてパリで活躍したトゥルヌミール(1870~1939)が、聖歌「テ・デウム(神よ、あなたを讃えます)」のメロディに特有の和声を絡めて即興し、後にデュリュフレが楽譜に起こした作品を演奏します。オルガンがホール全体を震わせて繰り返し「テ・デウム」を歌う様は、わたしたち人間の心の底からの叫びにも聞こえます。 (小島弥寧子)