本日のプログラムには、サントリーホールの香り立つような響きと、オルガンの様々な表情が楽しめる作品を選びました。 ヴィエルヌ(1870~1937)はフランス、パリで活躍したオルガニストで、多くのオルガンのための作品を残しました。「大聖堂」は『24の幻想的小品集』の中の1曲で、巨大な建造物を思わせる重厚さと、空間の静謐さを感じさせる音色の対比が美しい作品です。 コレア・デ・アラウホ(1584~1654)はスペインのバロック期を代表する作曲家の1人です。「ティエント」とはスペインの器楽曲によく用いられるタイトルですが、決まった形式はありません。本日演奏するティエントは、当時の多声声楽曲を模したスタイルで書かれており、性格の異なる場面が次々に現れて展開されていきます。 J. S. バッハ(1685〜1750)が残した名曲、管弦楽組曲第3番より「アリア」、通称「G線上のアリア」は、ヴァイオリンによる歌うような旋律が印象的な作品です。本日はフランスのオルガニスト、イゾワールによるオルガン編曲版を演奏いたします。 ヴィエルヌの弟子であったデュリュフレ(1902~86)の「『来たれ、創り主なる聖霊』の主題によるコラール変奏曲」は、同名のグレゴリオ聖歌を元に作られた作品です。5つの部分からなり、それぞれに特徴的な音色が用いられ、デュリュフレの繊細な和声を彩ります。 どの曲も、サントリーホールの暖かな余韻を感じていただける作品です。音が消えゆく瞬間までどうぞごゆっくりお楽しみください。 (中澤未帆)