J. S. バッハ:「来れ、聖霊よ」によるファンタジア BWV 651 カルク゠エーレルト:20の前奏曲と後奏曲 作品78 より 第10曲「わが頼みなるイエスは」 カルク゠エーレルト:66のコラール即興曲集 作品65より 第51曲「身を飾れ、おお愛する魂よ」 カルク゠エーレルト:『ロンド・アラ・カンパネッラ』作品156 メシアン:『天上の宴』 エベン:『讃歌』より 第3曲「ファンタスティコ」
出演者プロフィール
オルガン:小田龍一郎
東京都出身。武蔵野音楽大学器楽学科オルガン専攻卒業、同大学大学院博士前期課程修了、同大学大学院博士後期課程研究領域単位取得。平成20・21年度福井直秋記念奨学生。2008年にC. ボッサート、12年にP. v. ダイクほかによるマスタークラスを受講。各地のコンサートホールや教会などで多数演奏活動を行い、オーケストラや合唱団とも共演している。最近は特に、ルネサンス期からバロック期にかけての作品および、20世紀後半以降に書かれた作品に積極的に取り組んでいる。オルガンを藤枝照久、西尾純子、ピアノを栗原千種に師事。ヘアフォルト国際オルガンコンクール(16)セミファイナリスト。東京オリンピックに因んで東京芸術劇場において開催されたトウキョウ・オルガン・マラソン「オルガンは回る」(21)出演。(一社)日本オルガニスト協会会員。
聴きどころ
~出演者メッセージ~
本プログラムは、ペンテコステ(聖霊降臨の主日:今年は6月5日)のコラールがペダルで堂々と奏されるJ. S. バッハ(1685~1750)の重厚絢爛な「『来れ、聖霊よ』によるファンタジア」 BWV 651で幕を開けます。 続いて、オルガニスト、作曲家として活躍したジークフリート・カルク゠エーレルト(1877~1933)の作品を3曲演奏します。最初が「わが頼みなるイエスは」、次に甘美な和声が特徴的な「身を飾れ、おお愛する魂よ」、そして目まぐるしく変化する調性とペダルの動きが華々しい『ロンド・アラ・カンパネッラ』です。彼がオルガンをコンサート楽器として捉えてその可能性を追求していたことがこれらの作品からうかがえます。 ついで、聖餐式の神秘を描いたオリヴィエ・メシアン(1908~92)の最初期のオルガン作品である『天上の宴』では、本ホールの残響と大オルガンが備えている多様な音色が混じり合って、宇宙に広がるような奥行きが形づくられます。 最後はペトル・エベン(1929~2007)が1964年に作曲した『讃歌』から第3曲「ファンタスティコ」を演奏します。駆け上がる音階によって区切られるこの曲では、『天上の宴』と同じく聖餐式の秘跡を歌ったグレゴリオ聖歌「シオンをたたえよ」がモチーフとして繰り返され、最後は即興的に駆け巡る壮麗なトランペットのフレーズを経て終わります。 本プログラムはこのように、カルク゠エーレルトの『ロンド・アラ・カンパネッラ』を中央に置いて、祈りの曲を対称的に配したものとなっております。 (小田龍一郎)