<Vol. 8 ドラマティック・ロシア!>
指揮者・川瀬賢太郎インタビュー
サントリーホールと日本フィルハーモニー交響楽団が平日のマチネでお届けするシリーズ「日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン」。2018シーズン2回目の9月14日公演に登場する指揮者・川瀬賢太郎さんにお話を伺いました。
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昨年12月に「こども定期演奏会 第63回」にご登場いただいた川瀬賢太郎さん。若々しく軽やかでしなやかな指揮姿で、こどもから大人まで幅広い聴衆を魅了し、オーケストラの奏でる音楽の魅力を存分に伝えてくださいました。今年は、「とっておきアフタヌーン」シリーズにご登場いただきます。
こども定期演奏会の、いわば大人版が、「とっておきアフタヌーン」と言えるかもしれませんね。まだクラシック音楽にあまり馴染みのない方にむけて、音楽の間口を広げるという意味で。
コンサートホールというのは、そこにある(存在している)けれども、その扉のひとつ奥に入っていくことが難しかったり、勇気が必要なこともあると思うんです。でも、たとえばサントリーホールは、カラヤン広場も含めこの地域のシンボルでもあり、みなさんが活用できるので、門戸を広げて、まずはコンサートホールの中に入っていただくための企画というのは大切だと思います。
平日の午後にコンサートを楽しむ、というライフスタイルの提案でもあるのですが、昼公演の魅力は?
実は僕、最近は昼の公演が多いんです。せっかく燕尾服をつくり直したのに着る機会がないくらいで(笑)。僕にとって昼間は身体がいちばん生き生きしている時間なので、昼公演ではとても絶好調な姿をお見せすることが出来る!と言えます。
僕が小さい頃に父親と一緒にコンサートを聴きに行ったのは、圧倒的に夜の時間でした。その頃の僕にとって、コンサートのドキドキは、夜、一人で出歩いてはいけない時間に、国分寺の実家から都心に出掛けて行き、周りは大人だらけの演奏会に行くということでした。
お客様にとっての昼公演は、皆さん日々お忙しいなかで、ランチのあと14時からコンサートを聴いて、帰り道にちょっとお茶をして、また家に戻って行く。息抜きやリフレッシュになり、ある意味での非現実の時間を味わっていただいて、またそれを次への活力にしてくださったらいいなと思います。コンサートの時間だけでなく、聴いた後に何を持ち帰るか……その夜、野菜を切りながら、知らない間に今日聴いた曲を鼻歌で歌っていましたとか、そのあとの生活にうるおいや影響をもたらせるような演奏会になったらいいですね。昼の時間帯だったら、夜公演よりも、余韻を長く楽しめますよね。
9月公演のテーマは「ドラマティック・ロシア!」です。プログラムの聴きどころは?
まず、ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』は、比較的指揮する機会が多い曲です。それだけお客様に人気のある作品ということなんでしょうね。今回、ピアノの福間洸太朗さんとは初めての共演なので、どういうラフマニノフを弾いてくださるのか、とても楽しみです。
チャイコフスキーの『白鳥の湖』は、物語があるので、聴いていてイメージしやすいと思います。初めて聴くお客様にとっては、交響曲よりも堅苦しくない気持ちで向き合えるのではないでしょうか。
「とっておきアフタヌーン」2018シーズンは、今が旬の指揮者の方、ソリストの方が並んでおり、しかもイケメン揃いと伺っています。これからもずっと注目し続けたい方々ばかりです。
どの公演もほんとに素敵なアーティストの方々ばかりです。3公演でコンチェルトがあってシンフォニーがあって小品があって序曲があって……それぞれのエントランスみたいなところが、全部聴けると思います。
このシリーズは、託児サービスもついているみたいですし、クラシック音楽は好きだけれども日頃は子育てで忙しいという方にも、積極的に来ていただけたらいいなと思います。
川瀬さんご自身は、子どもの頃からずっとクラシック音楽に親しまれてきたんですね。
そうですね。父がクラシック音楽好きだったので、日常に音楽がありました。小学校に上がる前から、ご飯を食べることと同じレベルで音楽があったんです。もし、学校の授業で勉強として最初に音楽に出会っていたとしたら、この職業にはついていなかったかもしれません。
でも、クラシック音楽だけが音楽ではないですし、ポップスもジャズも……そもそもジャンルに分けてしまうのはもったいないと思います。全部音楽、すべては同じ流れの中にあるということを感じていただけたら、実はクラシック音楽の敷居なんて高くはないんですよ。
幼い頃からコンサートに通われて、それで指揮者ってかっこいいなと思われたんですね? いま指揮台に立って、客席から、背中、見られてるな〜って意識されますか?
衣装にアイロンをかけるときは、背中だけはきっちりかけています(笑)。でも、サントリーホールはステージの後ろにP席もあるから……アイロンをかけるというポイントにおいては大変です(笑)。指揮者の後ろ姿だけでなく前からも見られるホールはなかなかないので、特権ですよね。表情や、オーケストラに向かう姿を見られるというのは。よりオーケストラの一員になったような気持ちになれるかもしれないですね。
今回、各指揮者、ソリストの方々にキャッチコピーがつけられています。川瀬さんは、“やんちゃとまじめさの同居が最高の魅力!”となっています。ソリストの福間さんは“ノーブルで力強い日本ピアノ界のプリンス”。
なんか、“混ぜるな危険”って感じですね(笑)。初めてのソリストの方とは、この人は何を考えているんだろう、どんな人なんだろう、どうやって入っていこうかなというところから、だんだんお互いに近づいて、最終的には音楽で……独特な楽しみと、怖さが同居しています。福間さんとは「はじめまして」の挨拶から始まりますので、どうつくりあげていくことになるか、楽しみです。
日本フィルハーモニー交響楽団との共演は?
それはもう、デビュー当時から。デビュー前、コンクールの本選で課題曲を演奏してくださったのが日本フィルさんでした。さらにそれより前、東京音大の学生の頃から、師匠が広上淳一先生なので、よく日本フィルのリハーサル見学の機会があって、「若いの、がんばれよ!」と声をかけていただいたり。コンクールでご一緒して、最高位(2位)を受賞させていただきました。全国いろいろなオーケストラの中でも日本フィルは唯一、僕が名もなき学生の頃から多くの団員が知ってくださっているオーケストラです。そういう意味での楽しみと、毎回成長した姿を見せなきゃいけないなという緊張感があります。日本フィルの夏休みコンサートも4年間くらいご一緒させていただきました。
お客様にこういう風に聴いてほしいとか、ここが聴きどころというのがあれば教えてください。
まず、初めてオーケストラを聴く方は、想像以上の迫力というか、“圧”にびっくりされると思うんです。CDだったら耳で聴くという感じですが、コンサートホールで聴く音楽というのは、毛穴からなにから全部を使って”体感するもの”というイメージです。そういったオーケストラならではの迫力を身体いっぱいに浴びていただいて。そして、コンサートホールも実はひとつの大きな楽器なんです。オーケストラとコンサートホールが一体にならないと良いサウンドというのは生まれない。コンサートホールも楽器、だから聴きに行くというよりは、楽器の中に入っていくというイメージをもっていただくと、より面白いんじゃないかなと思います。 さらには、ひとつのコンサートをつくりあげるうえで、最後のパズルのピースがお客様です。聴いてくださる方がいない限り僕らの演奏も成り立たないわけで。だから、お客さんと演奏者とかいう立場ではなく、一緒にこのコンサートをつくりあげていく仲間として、コンサートに足を運んでいただけたら、よりオーケストラとかクラシック音楽が身近に感じられるのではないかと思います。
サントリーホールというのは、川瀬さんにとってどういう存在ですか?
やっぱり特別ですよね。いつの間にかサントリーホールって知っていたし、小さい頃から行っていたし、開場のときに流れるパイプオルゴールにドキドキしたりしていましたから。デビューして、自分がそのホールのステージに立っているというのは感慨深いというか、ある意味、聖地みたいな感覚です。サントリーホールは特別なところで、小さい頃に思ったイメージを、いまだに持っています。
お客さんとして客席から聴くとき、響きはスペシャルですばらしいです。それが、舞台の上だとまた聴こえ方が違うんですね。デビュー当時は、お客様にちゃんと届いているのだろうかと思う瞬間もありました。緊張もあったのでしょうけれど、まだお前なんかには早いと言われているような感覚がありました。聖地です。
最後に、“とっておき”アフタヌーンにちなんで、川瀬さんにとっての“とっておき”を教えてください。
うちのネコちゃんですね。フィガロっていうんですけれど。なにが彼の素敵なところかというと、僕のことを指揮者だと知らないってことですね。指揮者という職業は、リハーサル、演奏会だけが仕事ではなくて、家で楽譜を読んで準備している時間のほうが圧倒的に長いんです。そうすると、オンオフが日常の中になく、家に帰ったらオフというわけではない。でも彼は、僕が指揮者ということを知らないから、僕がいくら切羽詰まっていても、遊んでとか、腹が減っただの言ってくる。でもそれで、ふっとスイッチを切り替えられる、素に戻れるという感じなので、彼のおかげでなんとなく人間の心をキープできているわけで。こんなふうに感謝されているということももちろん彼は知らない。それがいいんです。ただいる。そういう存在が、僕にとっては「とっておき」です。
楽しいお話をありがとうございました。9月公演を楽しみにしています。
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