アーティスト・インタビュー

サントリーホール ジルヴェスター・コンサート 2024
キユーピー スペシャル サントリーホール ニューイヤー・コンサート 2025

アレクサンダー・ジョエル(指揮) インタビュー

ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団がサントリーホールを華やかに彩る年末年始の公演で指揮をとるのはアレクサンダー・ジョエル。2022/23シーズン以降、フォルクスオーパーの首席客員指揮者として定期的に出演するほか、オペラだけでなくマーラー、ブルックナーなどのドイツ・オーストリアの管弦楽作品にも幅広いレパートリーを持ち、欧州各地での活躍目覚ましいマエストロに、公演へ向けての意気込みを語っていただきました。

最後に来日なさったのは2019年ですね。前回の来日以降、パンデミックを経て、世の中は大きく変わりました。ご自身の中で、パンデミック前後で何か変化はありましたか?

クラシック音楽界全体で、コロナ禍中もコロナ禍後も非常に困難な状況が続き、なかなか回復が見られませんでした。コンサートやコンクールなど多くの音楽イベントが中止となる状態が数年続き、ようやく元に戻ったところです。

過去のサントリーホール公演にて

ジルヴェスター・コンサートとニューイヤー・コンサートの聴きどころを教えてください。

ヨハン・シュトラウスⅡ世の『美しく青きドナウ』や『皇帝円舞曲』などのワルツです。もちろん、「君は私の心のすべて」や「私の唇 それは情熱な口づけをするため」といったレハールのアリアも素晴らしいです。

フォルクスオーパー交響楽団の最大の魅力は何でしょうか?

演奏に独自のウィーンスタイルがあり、ウィーン音楽に必須のどんなルバート(※)や音色にも瞬時に有機的に対応できる点です。これはリハーサル時に教えてできることではありません。

※ルバート(伊:rubato):音楽に表情を与えるため,演奏者が楽曲の一部分でテンポを微妙に変化させること。

サントリーホールでは、ジルヴェスター・コンサートやニューイヤー・コンサートを通じてウィーンの音楽文化を日本に紹介することを目指しています。日本に「音楽文化」を定着させるために、何が重要だとお考えですか?

あらゆる国や社会の本質を明らかにするのは伝統や文化であり、その文化がえてして国や都市の精神やアイデンティティを形作るものです。たとえば、ヨハン・シュトラウスⅡ世と彼の生みだしたウィーン音楽には、ウィーンという都市とウィーン市民のユーモアや感傷的な部分が見事に表現されています。実際、彼のオペレッタ『こうもり』にも、ウィーン社会のさまざまな側面が鮮やかに描かれています。

日本の聴衆にメッセージをお願いします。

日本の素晴らしい聴衆の皆様へ。ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団と共に再び日本を訪れ、皆様に「私たちらしい音楽」をお届けできる日を心待ちにしています。いつも愛情深く、温かく歓迎してくださる日本の皆様には、毎回感動と感謝の気持ちでいっぱいです。日本公演を楽しみにしています。

◆アレクサンダー・ジョエル(指揮) プロフィール

オペラだけでなくマーラー、ブルックナーなどのドイツ・オーストリアの管弦楽作品にも幅広いレパートリーを持ち、気品と情熱を兼ね備えた音色をオーケストラから引き出すことができる指揮者。1993年から2003年までフォルクスオーパーのカペルマイスターとして活躍。2022/23シーズン以降、フォルクスオーパー首席客演指揮者として定期的にタクトを振っている。