アーティスト・インタビュー

チェンバーミュージック・ガーデン
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サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2024

「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」
第7期フェロー(受講生)からのメッセージ

昨年の「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」より

室内楽アカデミー・フェロー(受講生)が日頃の研鑽の成果を発表するフレッシュな演奏会。
各作品の演奏前に出演者が曲目紹介をするトーク付きで、室内楽がいっそう身近になります。
著名なコンクールでの入賞やオーケストラへの入団など、目覚ましい活躍を見せる若手音楽家が多数在籍する室内楽アカデミー第7期生。チェンバーミュージック・ガーデンでの6月8日 (土)、6月15日 (土)の演奏会をもって修了となります。
2年間のアカデミーでの学び、演奏会への意気込みや聴きどころについて、7団体からのメッセージをお届けします。
フェローたちの真摯な演奏とこれからの活躍にご注目ください。

昨年の「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」より
同 上

カルテット・インフィニート

私たちのカルテットは2021年に大学の同級生で結成し、今回のチェンバーミュージック・ガーデン(CMG)ではメンデルスゾーン作曲の弦楽四重奏曲第2番より、6月8日は第1楽章を、6月15日は第4楽章を演奏いたします。 この曲はベートーヴェンの弦楽四重奏曲から多くの着想を得ていますが、ベートーヴェンの楽曲とは異なりメンデルスゾーン独自の豊かなロマン性が備わっています。
そしてこの曲は、私たちがサントリーホール室内楽アカデミー第7期募集のオーディションで取り組んだ作品でもあります。今回のCMGで、私たちはフェローとしての活動を終えて、それぞれ別々の道へ進みますが、このアカデミーで約2年間、先生方から学ばせていただいたことを活かしながら、アカデミーで支えてくださった皆さま、そして演奏を聴いてくださる皆さまに感謝をこめて演奏いたします。
【ヴァイオリン:落合真子/小西健太郎、ヴィオラ:菊田萌子、チェロ:松谷壮一郎】

カルテット・インフィニート
2021年東京藝術大学2年在学中の4人で結成。市坪俊彦、松原勝也、吉田有紀子に師事。ダニエル・ゲーデ、アンサンブル天下統一(長原幸太、鈴木康浩、中木健二)などのアカデミーを受講。プロジェクトQ・第20章、学内オーディション選抜の藝大定期室内楽、サルビアホールクァルテットシリーズなどに出演。とやま室内楽フェスティバル2023にて、練木繁夫と共演。インフィニート=無限。音楽やメンバーひとり一人の持つ無限の可能性を信じ、作品と深く向き合っていきたいという想いを込めて命名。

クァルテット・フェリーチェ

今回のフェロー演奏会では、6月8日に三善晃先生の弦楽四重奏曲第3番「黒の星座」を、そして6月15日にはシューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」より第1楽章というプログラムを演奏させていただきます。 三善先生の作品は、桐朋学園で学んだ私たちが演奏する、日本人作曲家の作品として、特別なものを感じております。 「死と乙女」は、私たちが結成した年に初めて取り組んだ大作であるため、グループにとって大変感慨深い作品です。4年越しに再びこの作品に取り組むことが叶い、大変嬉しく思っております。
この2年間で素晴らしいファカルティの方々よりかけがえのない学びを賜りました。 元々「合わせる」、ということだけに執着しがちだった私たちに、レパートリーの素晴らしさを表現するための近道を数知れずご提示くださりました。また、室内楽アカデミーにて学ぶ機会をいただけたことが間違いなく私たちの成長のきっかけとなりました。
フェローとしての活動は一旦終了しますが、私たちクァルテット・フェリーチェは今後も精力的に活動を続けて参ります。アカデミーでいただいた学びを糧に、これからも精進したいと思います。
【ヴァイオリン:五月女 恵/清水耀平、ヴィオラ:川邉宗一郎、チェロ:蕨野真美】

クァルテット・フェリーチェ          ©N. Ikegami
2020年桐朋学園大学1年在学中の4人で結成。「フェリーチェ」とは伊語で“幸せ”という意味を持ち、磯村和英に名付けられる。MMCJ2021、霧島国際音楽祭、プロジェクトQ・第21章に参加。ヴィオラスペース、ル・ポン国際音楽祭、学内オーディションによる室内楽演奏会などに出演。名古屋の宗次ホールにて3度のリサイタルを開催。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール2022第2位(最高位)。24年2月、東京文化会館主催のアフタヌーン・コンサートに出演。磯村和英、山崎伸子に師事。

カルテット・プリマヴェーラ

この2年間、ファカルティの先生方から、技術的なことや音楽的なことまで本当に多くのことを学ばせていただきました。細かく4人で研究しながら楽しく勉強させて頂いた2年間が終わってしまうと思うと寂しい気持ちでいっぱいになるくらい、とても充実した2年間でした。演奏会にも沢山出演させて頂いたり、コンクールにも挑戦したり、2年前には見えていなかった世界がこの2年で凄く広がりました。学んだことをこれからも沢山活かしていきたいです。
今期最後のフェロー演奏会では、モーツァルト第17番「狩」より第1楽章 と、プロコフィエフ第1番より第1・2楽章をお届けします。この2曲はアカデミーの中でご指導いただいた、私たちにとって思い入れの深い曲でもあります。特にプロコフィエフは私達が初めて取り組んだ近代曲で、世界恐慌の最中に作曲されたこの曲をどのように表現すれば良いのか、共に試行錯誤しながら練習をした思い出が詰まっています。 この2年間、支えてくださった皆さまに、感謝の気持ちを込めて演奏させていただきます。
【ヴァイオリン:石川未央/岡 祐佳里、ヴィオラ:多湖桃子、チェロ:大江 慧】

カルテット・プリマヴェーラ        ©Ayane Shindo
2021年メンバー全員が桐朋学園大学在学中に結成。「プリマヴェーラ」とは伊語で“春”という意味を持ち、磯村和英に名付けられる。第13回秋吉台音楽コンクール第2位。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール2023第2位。MMCJ2022、プロジェクトQに参加。ヴィオラスペース2023公開マスタークラスを受講。CMG2023にてM. シュパチュコヴァー、J. アザルと共演。24年3月、第一生命ホールにてクァルテット・エクセルシオと共演。磯村和英、山崎伸子に師事。

ほのカルテット 

早くも7期生としての2年間が終わってしまうことに驚いています。ワークショップは常に発見の連続で私達の「ほのカルテット」としての個性を磨き、またカルテットについて深く考える時間を与えてくださいました。指導を受けるだけでなく先生方の経験談や音楽に対する想いを肌で感じることができたこの2年間は私たちにとってとても大切な時間です。 メンバーそれぞれ違う主軸を持ちながらカルテットに励んでいますが、4人のカルテットに対する想いがより一層深くなったと実感しています。様々な場で演奏する機会をこのアカデミーで経験し、現代におけるクラシック音楽のニーズやカルテットをより多くの人に知ってもらうために一奏者として何ができるか考えてきました。 そんな中、昨年の12月のリサイタルに続き、5月27日にもブルーローズ(小ホール)でリサイタルをさせて頂けることになりました。一つの活動拠点であるサントリーホールで演奏会をさせて頂けることを感謝しております。これからも音楽の素晴らしさや室内楽の魅力を伝えられるよう精進していきたいです。
今回のチェンバーミュージック・ガーデンではハイドンの「皇帝」を演奏します。結成以来一番多くの作品を演奏してきたのがハイドンです。また、カルテットのレパートリーにおいてとても大切な作品であり最も愛されている曲の一つだと思っています。そんなハイドンの「皇帝」こそ私達のアカデミーの2年間の節目に相応しいと思い選曲いたしました。
【ヴァイオリン:岸本萌乃加/林 周雅、ヴィオラ:長田健志、チェロ:蟹江慶行】(6/8公演のみ)

ほのカルテット              ©N. Ikegami
大阪国際室内楽コンクール2023弦楽四重奏部門第2位およびアンバサダー賞受賞。18年メンバー全員が東京藝術大学在学中に結成し、始動半年で第4回宗次ホール弦楽四重奏コンクールにて第3位およびハイドン賞受賞。19年第8回秋吉台音楽コンクール弦楽四重奏部門にて第1位受賞。プロジェクトQ・第19章に参加。20年より松尾学術振興財団の奨学金を受ける。山崎伸子、松原勝也、市坪俊彦に師事。

クレアール・クァルテット

ピアノカルテットのグループとして勉強したこの1年間、私たちはモーツァルトとブラームスを軸に取り組んできました。集大成となる6月15日のフェロー演奏会では、モーツァルトやブラームスに敬意を表していたリヒャルト・シュトラウスのピアノ四重奏曲より第3・4楽章を演奏いたします。 この作品は、20歳の若きシュトラウスが室内楽の習作を盛んに書いている時期に作られました。感情が心から湧き上がるような歌心溢れる第3楽章、管弦楽やオペラの傑作を多く残したシュトラウスらしくキャラクター性や遊び心が際立つエネルギッシュな第4楽章。後に巨匠となるシュトラウスに想いを馳せ、彼ならではの言葉を4人で楽しみながら演奏できたら嬉しいです。
それぞれが思い入れの強くあるこのアカデミー、修了となるのはとても寂しいですが、尊敬する先生方、素晴らしい環境のもとで勉強させていただけたことに心から感謝しております。また皆様の前で演奏する機会に出会えるようこの経験を宝物に今後とも精進していきたいと思います。
【ヴァイオリン:東 亮汰、ヴィオラ:古市沙羅、チェロ:山梨浩子、ピアノ:三浦舞夏】(6/15公演のみ)

クレアール・クァルテット
サントリーホール室内楽アカデミー第5・6期に参加したメンバーを中心に、第7期の受講にあたって結成。「クレアール」はスペイン語で“創造する”ことを意味する。とやま室内楽フェスティバル2022・2023に参加。23年より三浦を迎え、ピアノ四重奏として活動し、現在に至る。

トリオ・アンダンティーノ

サントリーホール室内楽アカデミーで学び始めてから様々なピアノトリオの名曲に取り組んできました。今回のチェンバーミュージック・ガーデンでは、6月8日にブラームスのピアノ三重奏曲第3番より第3・4楽章、6月15日にラヴェルのピアノ三重奏曲より第1楽章を演奏します。ブラームスのピアノ三重奏曲第3番は、有名な第1番に劣らない名曲です。後期のブラームスらしい哀愁の漂う第3楽章や、時に交響曲的な作曲技法も垣間見える決然とした第4楽章もそれぞれが魅力的な曲です。ラヴェルのピアノ三重奏曲は、アカデミーに入って初めての合宿で時間をかけて取り組んだ私たちにとっての思い出の曲です。繊細な響きから始まる第1楽章はラヴェルらしい豊かな色彩感が存分に味わえます。
アカデミーを通してトリオとしてアンサンブルの仕方やそれぞれの作曲家によって異なる表現の仕方を3人で話し合いながら毎回曲と向き合い、レッスンで先生方にアドバイスを教わる時間は大変貴重で素晴らしい経験でした。あっという間の2年間のように感じましたが、最後に皆様の前で思い出深い場所で演奏できることがとても嬉しいです。他のグループの演奏も含め、是非お楽しみいただければと思います。
【ヴァイオリン:城野聖良、チェロ:高木優帆、ピアノ:渡辺友梨香】

トリオ・アンダンティーノ          ©N. Ikegami
東京藝術大学の同期三人で2020年に結成。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール2021、杉並公会堂ベヒシュタイン室内楽コンクールで最高位を受賞。これまでに河野文昭、山﨑貴子、江口玲、松原勝也のレッスンを受講。グループ名は、コロナ禍中の練習で重宝した音楽スタジオの名前に由来し、初心を忘れないという意を込めて命名。23年東京文化会館主催の4館連携アフタヌーン・コンサートに出演。

ポルテュス トリオ 

今回2回目の出演となるチェンバーミュージック・ガーデンのフェロー演奏会では、6月8日にシューマンのピアノ三重奏曲第1番より第1楽章、6月15日にベートーヴェンのピアノ三重奏曲第3番より第1・4楽章を演奏いたします。
シューマンのピアノ三重奏曲第1番は、シューマンがクララのお誕生日祝いとして作曲した曲で、シューマンの悩みや複雑な心情とロマンティックな面があちらこちらに表れています。
ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第3番は、作品1と付いている通り彼の初期の作品ですが、この曲を聴いたハイドンが嫉妬した、というエピソードも頷ける、古典派とは思えないロマン派を想起させるような名曲です。
第7期フェローとしての2年間、様々な曲に挑戦し、トリオとしてのバランスや個々の表現、聴かせ方、そして本番の経験を詰む大切さなど、ファカルティの先生方からたくさんのことを教わりました。また、ある時は先生方と一緒に演奏し、アカデミー生でなければ経験できないような貴重な機会も頂きました。
11月19日には、東京文化会館小ホールで日本演奏連盟の若手音楽家のためのリサイタルシリーズに出演させて頂きます。サントリーホールのアカデミーでの学びを忘れず、さらに成長した演奏をお届けしますので、CMGと併せてこちらもぜひいらして頂ければ嬉しいです。
【ピアノ:菊野惇之介、ヴァイオリン:吉村美智子、チェロ:木村藍圭】

ポルテュス トリオ             ©N. Ikegami
2021年桐朋学園大学に学ぶメンバーによって結成。ポルテュスはラテン語で「港」を意味し、3人が横浜出身であること、音楽を通じて世界へと開かれる港となれるように願いを込めて命名。学内選抜による第105回桐朋学園室内楽演奏会に出演。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール2023第1位。第44回霧島国際音楽祭賞受賞。とやま室内楽フェスティバル2022にて、磯村和英、池田菊衛と共演。山崎伸子、練木繁夫に師事。

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