アーティスト・インタビュー

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サントリーホールでオルガンZANMAI!

“ポジティフ” ビー アンビシャス! 
栗田麻子(オルガン) メッセージ

栗田麻子

移動ができる小型の「ポジティフオルガン」は、そのかわいらしい独特な音色と、シンプルゆえの奥深い魅力に、ファンも多いオルガンです。
楽器・演奏者を間近に見ながら楽しめるサロンのような雰囲気のブルーローズ(小ホール)で、ポジティフオルガンの魅力に触れる貴重な時間をぜひお過ごしください。
「“ポジティフ” ビー アンビシャス!」は入場無料 (事前申込制・指定席制・座席選択可)、4歳よりご入場いただけます。

8月11日(木・祝)15:00開演の公演に出演するオルガニスト、栗田麻子のメッセージをお届けします。
曲目および申込方法詳細は、下記リンク先ページをご覧ください。 

栗田麻子

選曲の意図、コンサートのききどころ

サントリーホールのポジティフオルガンには4つの音色がついています。1つの音色だととても柔らかい音がでますし、4つ全部使うとアンサンブルにも負けないパワフルな音が出ます。今回はその4種類の音色を使って、様々なポジティフオルガンの表情をお伝えできたらと思い、5つの曲を選びました。
最初にお届けするのは、J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 より 第15番 ト長調 BWV 846です。この作品は、最近はピアノで演奏されることが多いかと思いますが、今回はピアノとはまた違う、オルガンの響きで聴く平均律クラヴィーア曲集をお楽しみください。
2曲目は、鳥の鳴き声のようなモチーフがでてくる、パッヘルベルフーガ ハ長調「ナイチンゲール」。オルガンの中から鳥たちの会話が聴こえてくるようです。3曲目の身を飾れ、おお愛する魂よブラームスがコラール(讃美歌)のメロディーをもとに作曲した温かみのある名曲です。
後半は少し趣を変えて、伝統的な英語の歌をもとにした変奏曲からダフネ。最後は、南ドイツを代表する作曲家ケルルパッサカリア ニ短調です。パッサカリアはバス・パートでテーマを繰り返しながら変奏していく曲。ケルルは次々と変奏のアイディアが出てくるようで、突然速い音符で動き回ってみたかと思うと、ゆっくりたっぷり弾いてみたり、低音と高音で会話するようにかけあってみたりと、沢山音で遊んでいます。5つの色々なタイプの曲をお楽しみいただけたら幸いです。

ポジティフオルガン

オルガニストからみるオルガンの魅力と、ポジティフオルガン独自の面白さ

オルガンの魅力は一言では言い表せないくらい沢山あるのですが、私にとって一番面白いと思うのは、音色を選べることです。オルガンにはたいてい演奏台の横に「ストップ」というノブがついていて、そのストップを操作することによって、音色を選ぶことができます。音色の数も、響きも、オルガン1台1台違うので、コンサートの度にどういう音色で演奏するか考えます。作曲家が使う音色を指定していることや、時代や国によってオルガンの特徴も様々なので、自分が好きな音色をいつも自由に組み合わせているわけではありませんが、絵の具を混ぜてすてきな色を見つけるように、様々な音を組み合わせてみて、イメージに近い音色が見つけられたときは嬉しいです。そして、今回演奏するポジティフの面白さ・魅力は、お客様と楽器の距離が近いことでしょうか。ポジティフオルガンは小型で、パイプがお客様のすぐ近くにありますので、音を奏でるパイプの呼吸が、大ホールの大きなオルガンよりさらに身近に感じられると思います。ぜひポジティフオルガンの魅力を発見しに、コンサートにお越しください!

サントリーホールのオルガンにあるストップ・ノブ

栗田麻子(オルガン)
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学ピアノ科卒業。卒業後、東京藝術大学オルガン専攻に進む。同大学卒業時に同声会賞受賞および同声会新人演奏会に出演。その後、ハンブルク音楽演劇大学修士課程にて研鑽を積み、ソロやアンサンブルで様々なコンサートに出演。これまでに、ピアノを斎木ユリ、斎木隆、山田富士子、オルガンを水野均、廣江理枝、廣野嗣雄、ヴォルフガング・ツェラーに師事。

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