アーティスト・インタビュー

チェンバーミュージック・ガーデン
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サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2022

「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」
第6期フェロー(受講生)からのメッセージ

昨年の「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」より

室内楽アカデミー・フェロー(受講生)が日ごろの研鑽の成果を発表するフレッシュな演奏会。出演者が各作品の演奏前に曲紹介をするスタイルが好評です。現在の第6期生の中には、日本音楽コンクールや東京音楽コンクールなど上位入賞者も多数含まれており、ソロのみならず室内楽にも積極的に取り組むことで成長を続けています。この演奏会をもって、2年間にわたる室内楽アカデミー第6期が修了となります。
6月11日 (土)、6月18日 (土)の公演に出演する室内楽アカデミー第6期生、7団体のメンバーからのメッセージをお届けします。

昨年の「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」より

クァルテット・インテグラ

私達は、このサントリーホール室内楽アカデミー第5期、第6期と4年間勉強させて頂きました。その中で、ファカルティの先生方の、音楽への深い愛情と情熱に触れ、私達はどんどんクァルテットにのめり込んでいきました。今では弦楽四重奏団として生きていきたいという強い思いがあります。
6月6日のリサイタルでは、モーツァルト第15番、デュディユー、バルトーク第5番を演奏します。これは暗闇の中で花がゆっくりと開いていくようなプログラムです。11日はベートーヴェン第6番の第3,4楽章です。ベートーヴェンとバルトークの2人はいつも私達の中心にいました。18日に演奏するドビュッシーは、今から7年前、まだ結成して間もない頃に、初めて人前で演奏した作品です。
今回のチェンバーミュージック・ガーデンで、私達はフェローとしての活動を終えます。このコンサートは、終わりではなく、クァルテット・インテグラ第二章の始まりという形で、お世話になった方々に感謝の気持ちを表したいと思います。

クァルテット・インテグラ
2015年結成。バルトーク国際コンクール弦楽四重奏部門第1位。第8回秋吉台音楽コンクール弦楽四重奏部門第1位、ベートーヴェン賞、山口県知事賞(グランプリ)を受賞。キジアーナ音楽院夏期マスタークラスにて、クライヴ・グリーンスミスに師事し、最も優秀な弦楽四重奏団に贈られる“Banca Monte dei Paschi di Siena” Prizeを受賞。第41回霧島国際音楽祭に出演し、堤剛音楽監督賞、霧島国際音楽祭賞を受賞。松尾学術振興財団より助成を受ける。
ヴァイオリン:三澤響果/菊野凜太郎、ヴィオラ:山本一輝、チェロ:築地杏里

ドヌムーザ弦楽四重奏団

私達はベートーヴェンのカルテットを軸にこのアカデミーで2年間研鑽を積んで参りました。そして最後のフェロー演奏会ではどちらもベートーヴェンの作品を演奏します。
6月11日に演奏する弦楽四重奏曲第10番は「ハープ」の愛称としても親しまれています。私達は去年の秋の富山合宿からこの曲を勉強し、幾度にもわたるセッションを経てその真髄に迫ろうと試みました。11日に演奏する第2楽章では、楽聖が確立した力強い音楽とは打って変わって彼の心の奥底から溢れる慈悲深い一面をお届け出来れば幸いです。
18日には弦楽四重奏曲第5番の第3楽章を演奏します。この楽章は変奏曲の形をとっており、ある意味ではこの作品の心臓とも言えます。初期の段階ではありますがベートーヴェンの音楽的野心や革新性はこの頃から既に存分に感じることが出来ます。変奏曲のテーマとなる形は至ってシンプルな音階ですが、変奏を重ねることによって人が沢山集まってきたような賑やかさを見せ、貴族のための音楽が市井の人間に届く喜びを表現しているとでも言えるでしょうか。
2年間のアカデミーは長いようで短い、あっという間の時間でした。先生方の温かいお言葉、同じフェローの素晴らしい演奏にいつも刺激を貰い、音楽的にも人間的にも成長することが出来ました。アカデミー開始時と時を同じくしてコロナの流行が始まりました。足元ではウクライナの情勢不安もあったりと困窮を極める世の中でありますが、私たちの音楽が灯火となって皆様の心を明るく照らすものとなりますように。この2年の学びを通して少しでも音楽で恩返しが出来ますように、精一杯演奏させていただきます。

ドヌムーザ弦楽四重奏団
サントリーホール室内楽アカデミー第6期アンサンブル参加にあたり、2020年5月に結成。桐朋学園大学、東京藝術大学の在学生や卒業生で構成されている。アンサンブル名のDonumusaはラテン語で“贈り物”を意味するDonumと、ギリシャ神話で芸術を司る神の名であるMusaとを組み合わせた造語であり、自分たちの音楽を広く届けたいという思いを込めて名付けた。20・21年とやま室内楽フェスティバルで、原田幸一郎、磯村和英、毛利伯郎と共演。
ヴァイオリン:木ノ村茉衣/入江真歩、ヴィオラ:森野 開、チェロ:山梨浩子

ポローニア・クァルテット

私たちは今回、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番第1楽章とスメタナの「我が生涯より」第1・4楽章を演奏いたします。ベートーヴェンの1番は、実際は2番目に作曲され、ヴァイオリニストの友人からの勧めで1番として出版されました。モチーフを4人のユニゾンで奏でて始まります。曲調は至ってシンプルです。
「我が生涯より」は病で難聴となったスメタナ自身の生涯を振り返って書かれた作品です。第1楽章は「私の青年期の芸術への情熱や愛情、ロマンティックな雰囲気、そして不幸の知らせ」を語っています。冒頭のヴィオラの情熱的な第一主題は不幸の知らせを意味しており、E-G-E-Gという下で常に鳴っているこの音形はまるで不幸が近づく運命の音のように感じます。第4楽章は、最初は明るく、民族的で踊りたくなるような曲調ですが、遂に運命はやってきます。第一ヴァイオリンが高音で耳鳴りの音を奏で、第一楽章の「不幸の知らせ」を回想します。

ポローニア・クァルテット
2016年桐朋学園に在学中の学生で結成。学内の成績優秀者による第100回、第101回室内楽演奏会など出演多数。20年ヤマハ銀座コンサートサロンにてリサイタルを行う。これまでにヴィルフリート・シュトレーレ、佐々木亮、塩貝みつる、山崎伸子に指導を受ける。池田菊衛、磯村和英に師事。桐朋学園大学の前学長・梅津時比古より「ポローニア・クァルテット」と命名され、活動している。
ヴァイオリン:東 亮汰/岸 菜月、ヴィオラ:堀内優里、チェロ:小林未歩

カルテット・リ・ナーダ

皆様こんにちは!リ・ナーダです!!
私たちのグループは笑いあり、涙あり、倦怠期(?)あり、の2年間でした。当初のメンバーであったヴィオラの太田くんは4月から一般の会社員として別の道を歩み始めました。3月から、有賀さんが加わってくれています。
大変お世話になりました先生方と、サントリーホールのスタッフの皆さん、同期の素晴らしいグループの皆様には本当に感謝しております。
6月11日に演奏するハイドンの弦楽四重奏曲第67番は、「ひばり」の愛称で親しまれています。なんとも優雅な雰囲気に満ち溢れている第1楽章、最後まで疾走感が続く第4楽章をどうぞお楽しみください!
6月18日に演奏するボロディンの弦楽四重奏曲第2番は、ボロディンが妻に愛を告白した20周年の記念として、妻のエカテリーナに献呈されたそうです。それを彷彿させるような愛情溢れる旋律がたくさん出てきます。私達の愛情溢れるアンサンブル(!?)をお楽しみください。

カルテット・リ・ナーダ
2020年春に結成。原田幸一郎に師事。1980年代より、師である原田幸一郎と故 数住岸子が企画した室内楽グループ「NADA(ナーダ)」の想いに感銘を受けて命名。NADAとは、サンスクリット語で“宇宙にあるすべての音”の意味で、音で人と人を結びたい、室内楽を音楽家だけでなく聴衆と分かち合うことを目指す。20・21年とやま室内楽フェスティバルで毛利伯郎や練木繁夫と共演。プロジェクトQ・第18章に出演。
ヴァイオリン:前田妃奈/福田麻子、ヴィオラ:有賀 叶、チェロ:菅井瑛斗

ルポレム・クァルテット

私たちは、サントリーホール室内楽アカデミー第6期最後のフェロー演奏会で、ドビュッシー(6/11)とシューベルトの「死と乙女」(6/18)を演奏させていただきます。
ドビュッシー、シューベルトは作風としてはまったく異なりますが、音楽に常に夢があります。どんな暗いメロディラインにも希望を見出します。私たちも誠実に音楽に向き合うことで、希望に向かい続ける精神を表現できたらと思います。
この2年間、ファカルティの先生方には非常に多くのことを教えていただきました。先生方は常に、「カルテットとしての音楽」の追究を私達と共にしてくださいました。また第6期フェローの方々の音楽を肌に感じることで、影響を受けてきました。
濃密な時間の中、弦楽四重奏に邁進することができました。
このアカデミーで支えてくださった皆さま、そして当日演奏を聴いてくださる皆さまに、感謝をこめて演奏いたします。

ルポレム・クァルテット
2019年結成。「ルポレム」は、ラテン語で“魅力的”という意味をもつ。第14回セシリア国際音楽コンクール室内楽部門第1位および審査委員長賞受賞、副賞としてカーネギーホールで行われるコンサートに出演予定。デザインK主催Kニューイヤーコンサート2020に出演。学内の成績優秀者による「2020年桐朋室内楽演奏会」に選出。20年とやま室内楽フェスティバルにて練木繁夫、池田菊衛と共演。
ヴァイオリン:吉田みのり/深津悠乃、ヴィオラ:古市沙羅、チェロ:和田ゆずみ*客演

レグルス・クァルテット

私たちは、6月11日にモーツァルトのハイドンセットの中で唯一短調である第15番、18日には無調性音楽の可能性を広げたウェーベルンによる5つの小品、19日のフィナーレ公演ではベートーヴェン第15番第3楽章を弾かせていただきます。この楽章は“リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌”と題されていますが、題の通りベートーヴェンが病から復活した際の喜びや感謝の気持ちを表した崇高な曲です。
このアカデミーに参加した2年間では、本当にたくさんの事を学ばせて頂き、最も濃い時間だったように思います。
コロナ禍に於いてもこのような素晴らしい勉強の場を提供してくださったファカルティやスタッフの皆様に深い感謝の気持ちで一杯です。

レグルス・クァルテット
2019年プロジェクトQ・第17章の参加を機に結成。メンバーは桐朋学園音楽大学、東京藝術大学の出身者で構成される。小澤国際室内楽アカデミー奥志賀、プロジェクトQ・第17章、第18章マスタークラスを受講したほか、原田幸一郎、磯村和英、山崎伸子、原田禎夫に指導を受ける。また松尾学術振興財団より第31回松尾音楽助成奨励を受ける。
ヴァイオリン:吉江美桜/東條太河、ヴィオラ:山本 周、チェロ:矢部優典

京トリオ

京トリオとして活動を始めてから早2年が経過しました。室内楽アカデミー第6期で学ぶために結成したピアノトリオでしたが、3人とも病気や怪我、故障などで欠けることなく今期を修了できることに安堵すると同時に、感謝しております。同じメンバーで多くのレパートリーに触れレッスンを受け演奏し続けると、アンサンブルはもちろん3人の絆も深まったように感じます。これはリハーサルの進め方にも影響があり、結成当初よりも安心してお互いの意見をぶつけ合えるようになったと実感しています。
ブラームス作曲ピアノ三重奏曲第1番より第1楽章(6/11演奏)は作品番号こそOp. 8と若いものの1891年に改訂されており、実質的には最晩年の作品と言えます。ピアノトリオのレパートリーとしては3本の指に入るほどの王道で、この名曲に触れられることに喜びを感じています。シューベルト作曲ピアノ三重奏曲第1番より第1楽章(6/18演奏)は、実は私たちが室内楽アカデミーのオーディションの課題曲として演奏した曲でした。2年の時を経て改めてリハーサルをすると、走馬灯のようにレッスンでの金言や苦労した思い出が甦り、大変感慨深いものでした。ある意味で最も私たちの2年間の足跡を表現できる曲ではないかと選曲致しました。是非ご来場の皆様へ、2年間の成果と今後の活動の第一歩として演奏をお届けしたいです。

京トリオ
サントリーホール室内楽アカデミー第6期アンサンブル参加にあたり2020年春に結成。メンバーはいずれも桐朋学園出身で、ポーランドを中心に国内外で演奏活動を行うピアノの有島京と、同アカデミー第4期を修了した弦楽器の2人、山縣郁音と秋津瑞貴。20・21年とやま室内楽フェスティバルに参加。21年には初のリサイタルを実施。22年赤坂区民センターふれあいコンサートに出演。
ピアノ:有島 京、ヴァイオリン:山縣郁音、チェロ:秋津瑞貴

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