「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」は、室内楽アカデミー・フェロー(受講生)が日ごろの研鑽の成果を発表するフレッシュな演奏会。出演者が各作品の演奏前に曲紹介をするスタイルが好評です。
6月12日 (土)、6月26日 (土)の公演に出演する室内楽アカデミー第6期生、7団体のメンバーからのメッセージをお届けします。
クァルテット・インテグラ
私達は、グループとして古典から現代まであらゆる時代の作品を演奏することを大切にしており、今年のチェンバーミュージック・ガーデンでは6/12に武満徹、6/26にモーツァルト、そして6/27にはシューベルトを演奏させて頂きます。これら1つ1つを全く異なるアプローチで取り組み、その上で、全て等身大の自分達の視点で表現することが出来たら、私達が今ここで演奏するということに大きな意味があるのだと思います。
これまでに、ファカルティの先生方からは本当に多くの影響を受けてきました。その中で先生方との関係も少しずつ変化してきたように思います。単に教わるだけではなく、「自分達が何を信じるか。」ということに対して、先生方1人1人の観点から意見を頂き、またそこから自分達が何を表現していくのかを考えていく、という風になってきたと思います。
演奏会当日、無事にお客様と会場でお会い出来ることを心の底から願っております。
ドヌムーザ弦楽四重奏団
こんにちは、ドヌムーザ弦楽四重奏団です。
6/12はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番より第1,4楽章を演奏します。優雅で気品があり、爽やかな満足感を得られる作品です。自由な転調とモチーフには、どこかモーツァルトのオペラのような特徴が見られますが、これは形式的な影響に留まらず、彼自身が当時の音楽をどのようにとらえていたのかが、生々しく表われているという点で面白いポイントです。
6/26はバルトークの弦楽四重奏曲 第4番を演奏します。難解な曲ですが、各楽章の対比、エキゾチックで歌心にあふれた旋律、そして何より強烈なリズムの迫力、熱狂!に注目しながら聴いていただければ、きっとお楽しみいただけると思います。また、一度登場したモチーフが再度他の楽章に性格を変えて現れる場面が多々あるのですが、さながら小説の伏線回収を見ているようでニヤリとしてしまいます、こちらにも注目してみてください。
ご来場お待ちしております。
ポローニア・クァルテット
6/12に演奏する「ロザムンデ」という愛称がついたシューベルトの弦楽四重奏曲第13番は、作曲前年に完成させた同名のオペラに由来しています。今回演奏する1楽章の冒頭は、シューベルトが初めてゲーテの詩を用いて作曲した歌曲、「糸を紡ぐグレートヒェン」に基づいており、憂鬱な中にも熱い想いが込められています。
そして6/26にはバルトークの弦楽四重奏曲第2番より第2楽章を演奏します。第一次世界大戦の真っ最中に作曲され、今回演奏する第2楽章はアラブのアクセントを思わせる激しい曲調で、この楽章からもバルトークの独自の世界がはっきりと刻印された作品だと感じています。バルトークの残した6曲の弦楽四重奏曲はベートーヴェンの16曲の弦楽四重奏と並び称される傑作です。
昨年の9月から始まったアカデミーで毎月、楽曲についてだけでなく、室内楽において貴重なアドバイスをいただくことで、自分たちでも話し合う時間が増え、室内楽に対する向き合い方も大きく変わりました。自分たちが感じた音楽を聴衆の皆さまに届けられるよう、4人の個性を尊重しつつ、一体感のあるクァルテットを目指します。
カルテット・リ・ナーダ
こんにちは!リ・ナーダです!
こんなご時世ですが、文章でも!演奏でも!楽しんでいただけるよう、がんばります!
初めての富山での合宿では野生の熊の出没に怯えながらも(今回は出ませんでした)充実した期間を過ごす事が出来ました。特に、富山県立近代美術館でファカルティの毛利先生とシューベルトの弦楽五重奏を演奏できた事は、一生の思い出です。また、先生の初めてのスターバックスにご一緒できたことは、私たちの誇りです。
ドヴォルジャークは、故郷であるチェコを離れ、心機一転アメリカでの活動を開始しました。第1楽章には彼が愛した鉄道の汽笛のぽっぽーーーという音、第3楽章はドファレドレファという音形が、調を変え形を変え、様々な訴え方で登場します。まるでおもちゃを買って欲しくて試行錯誤するちっちゃい子みたい!第4楽章は、ショーが始まるかのような、ワクワクした伴奏の上で、第1ヴァイオリンが楽しく踊ります。
それでは、お楽しみください!
ルポレム・クァルテット
ルポレム・クァルテットは、今年で結成して2年になります。いつも聴きにきていたチェンバーミュージック・ガーデンに出演できる事になり、とても嬉しいです。
私達が結成当初から取り組んでいる、メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番(6/12)は、彼が18歳の時に作曲しました。曲中で、自身の歌曲『本当に?』(Ist es wahr?)の動機が何度も登場します。それは、彼の敬愛するベートーヴェンへの呼びかけ、あるいは応えなのかも知れません。激しくもロマンティックな、歌心あふれる旋律は圧巻です。
ヤナーチェク:『内緒の手紙』(6/26)は、昨秋のとやま室内楽フェスティバルで、先生方に1週間かけてご指導いただいた、思い入れのある曲です。38歳年下の人妻カミラへの「恋文」ならぬ「恋曲」として書かれた曲で、ヤナーチェクの並々ならぬ想いは、曲調にも現れています。目まぐるしい変化と激情の表現に苦戦しました。心情の美しい対比をどうぞお楽しみください。
レグルス・クァルテット
早くもサントリーホール室内楽アカデミーのフェローとしての1年目が終わります。クラシック音楽界を引っ張って来てくださった先生方の当時の貴重なお話や、様々な経験に基づく教えは大変興味深く、沢山の事を学ばせて頂きました。
6/12に演奏するハイドンの弦楽四重奏曲第75番は、とてもチャーミングで優美な曲です。副題こそありませんが、ハイドンのカルテットの中でも特に素晴らしい曲だと思います。バルトークの弦楽四重奏曲第3番は、彼が書いた6曲のカルテットの中で一番短い曲ですが、東ヨーロッパの民族音楽や他の作曲家からの影響、そして彼の緻密で精巧な音楽創りが重なり合わさった、とても中身の濃い曲です。
そして6/26にはドビュッシーも賛辞を送ったと言われているラヴェルの弦楽四重奏曲を演奏します。彼の書いた楽譜を見ると何故か絵画を見ている気がします。彼の感性の全てが詰まった天才的な曲です。
世界各国から生まれた芸術が、人々が自由な往来をできない間の架け橋として存在してくれたらという願いを込めて演奏させて頂きます。
京トリオ
私たち京トリオは室内楽を深く学びたいという想いから昨年6月に結成し、一年間研鑽を積んで参りました。室内楽アカデミーのワークショップでは唯一のピアノトリオということもあり、ファカルティの練木先生からは特に熱のこもった指導を賜りました。
ピアノと弦楽器の構造上の違いを如何にして埋めるのか。アンサンブルとして融合しているべき部分、あるいは個々がソリストのように主張し合う部分など、表現方法は多岐にわたりました。
ベートーヴェン作曲ピアノ三重奏曲第7番「大公」より第1楽章(6/12)は、ピアノが主となり主題やモチーフを提示しますが、ヴァイオリンだけでなくチェロも朗々と歌う様が印象に残るでしょう。
ブラームス作曲ピアノ三重奏曲第2番(6/26)は、全ての楽章がヴァイオリンとチェロのユニゾンで始まります。ピアノと弦楽器の呼応する様子が印象的な曲です。今回演奏するのは第1楽章だけですが、興味を持って頂けたら是非他の楽章も聴いてみてください。