主催公演

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」
司会・坪井直樹さん インタビュー

     坪井直樹さん(テレビ朝日アナウンサー)

「こども定期演奏会」は、東京交響楽団とサントリーホールが2001年からスタートした、こどものためのオーケストラ定期演奏会。小学生以上を主な対象に年4回シリーズでお届けしており、2021年シーズンで20周年を迎えます。
テレビ朝日アナウンサーの坪井直樹さんは、この8年間、年4回公演の司会をつとめてきました。
坪井さんにこれまでのエピソードや思い出、演奏会の面白さ、ユニークなところなど、お話を伺いました。

     坪井直樹さん(テレビ朝日アナウンサー)

4月18日に「こども定期演奏会」20周年のガラコンサートが行われます。
坪井さんはこの8年間司会をされてきましたが、こども定期演奏会でのエピソードや思い出などありましたら教えてください。

個人的な思い出は、何と言っても東京交響楽団のメンバーとして(!?)オケの中でヴァイオリンを演奏できたことです。
司会としては、実は演奏会全体のタイムキーパー的な役目も担っているのですが、ステージでのトークが盛り上がって時間をオーバーしてしまい、舞台裏に戻るとスタッフの女性に「ちょっとおしゃべりが長いです」とクールな笑顔で言われたりします(笑)そんなテレビの生放送のようなドキドキ感も毎回楽しい思い出です。
エピソードとしては、誰もが想定外だった去年のコロナ禍で初めて1日2回公演を行ったことです。私は2回おしゃべりするだけですが、2回ステージをセッティングし、2回体中で指揮をし、2回集中して演奏をするのは並大抵ではありません。
そして、すでに完売していたチケットをすべてのお客様に連絡をして再配席した。これを実現した関係者の皆さんの努力と苦労は計り知れません。一瞬の音の響きのためにこれほどまで多くの人たちが人生を捧げていると思ったとき強く心を打たれました。

東京交響楽団とヴァイオリンを演奏(2014年4月)
ヴァイオリンを演奏後、指揮の下野竜也さんと

こども定期演奏会の面白さやユニークさはどのようなところでしょうか。

我々も“こども”みたいな気持ちでステージを楽しんでいるところですかね。事前の打ち合わせではいつも指揮者やソリストなどから「こうすればみんな楽しいかも!」「こうしたらみんな驚くかも!」ってアイデアが次から次へと出てくる。なんか、演奏会と言うより誕生日会の打ち合わせをしているみたい。
ある回の打ち合わせでは指揮者に「坪井アナは髭とマントと冠をつけて王様になってよ!」と言われ、冗談だと思って笑っていたら、本番当日、楽屋にその“王様3点セット”が用意されていました(汗)そして王様に扮してハイドンの交響曲の紹介をしたこともありました。
そんなフットワークの軽さや意外性のステージが、こども定期ならではだと思います。

王様に扮してハイドンの交響曲を紹介(2018年9月)

坪井さんご自身、演奏会のどのようなところを楽しんでいらっしゃいますか。

8年もお付き合いさせてもらっていますとオーケストラやホールの方たちとも顔見知りなので、皆さんに会えることがまず楽しみです。そして本番では、演奏はもちろんなのですが、合間のトークでも客席の子どもさんや親御さんがどんな表情をしているか楽しんでいます。それで笑いも取れたら言うことなし!

こども奏者に話を聞く坪井さん

坪井さんにとってサントリーホールはどのような場所でしょうか。

「実家」です。大げさではありません。17歳の高校生の時にこのホールがオープンして、こけら落とし公演に行きました。小澤征爾&ベルリンフィルのチケットを徹夜で並んで手に入れました。あのときの「英雄の生涯」は最高でした。
そして、学生時代はホール内でアルバイトをしていました。それから隣の会社(テレビ朝日)に就職しました。仕事終わりでも走って10秒で極上の音楽の世界に入れました。以後、今は司会者としてもこのホールにお世話になっています。
私の人生の3分の2は、サントリーホールとともに歩んできました。もうしばらく、このまま実家で暮らしたいと思っています。

テーマ作曲・山下華音さん(当時小学3年生)とご家族、編曲・和田薫さん、指揮・川瀬賢太郎さんと

「こども定期演奏会」にご来場予定の方や、まだ来場されたことがない方(保護者の方、こどもさん)も含めて、ひとことメッセージをいただけますか。

毎日を豊かに、人生を楽しく、そのきっかけになるかもしれません。ぜひオーケストラの音の響きを体験しに来てください!

  • 1日2回公演を行った2020年7月5日、アルト・サクソフォーンの上野耕平さんと
  • ヒナステラ作曲『エスタンシア』より「マランボ」の演奏前、会場の皆さんと足踏みを練習。指揮の原田慶太楼さんと(2020年9月)