海外グループ会社の取り組み

各国・各地域において、お客様起点の発想を徹底したMONOZUKURIにより、「おいしさ」「健やかさ」「楽しさ」という価値創造を行います。

お客様に寄り添った商品開発

長い間、砂糖を多く含んだ炭酸飲料がお客様に求められ、拡大し続けてきた世界の飲料市場ですが、昨今では健康志向の高まりや、お茶やコーヒーのRTD化を背景に、水や無糖炭酸といった清涼飲料水が市場全体の7割程にまで増加しています。特に日本では、全体の約8割が水と無糖炭酸を占め、欧米諸国と比較しても高い水準にあります。健康志向は今後も一層進展するものと考えられ、日本での知見が存分に海外で活かせると考えています。サントリー食品インターナショナルではこのようなお客様のニーズに応えつつ、さらに世の中の半歩先を見据えた新しい価値を持つ商品の開発を目指しています。

お客様に寄り添った商品開発
研究開発こそがメーカーの命

サントリー食品インターナショナルが事業をさらに成長させていく上で欠かせないのが、お客様の新たなニーズを創造する高付加価値商品の提供です。その原動力となっているのが、サントリーグループの創業時からの“研究開発こそがメーカーの命”という考えに基づいた、長年の研究開発の積み重ねです。
サントリーグループでは、酒類製造から始まる様々な商品開発の過程で、微生物や酵素の利用技術、蒸溜技術などの製造技術を進化させてきました。これらの技術に加え、サントリー食品インターナショナルは新しい健康素材の探索・健康効能の研究、水科学、嗜好科学といった様々な研究開発の成果も活用しています。これらの強みを活かしながら、サントリー食品インターナショナルは現地のお客様に合わせた創味や新しい素材・技術の開発を行っています。

研究開発こそがメーカーの命
グローバルな開発連携

サントリー食品インターナショナルは、各国で現地のお客様の嗜好にあった味わいを探求し、その地域のお客様に愛される商品の創出を目指しています。そのため、徹底したお客様起点の思考・ものづくりをグループ全体で実践しています。
2017年4月には、グローバルなものづくり戦略を立案・推進するため、R&D、生産SCM、品質保証を傘下に持つ「MONOZUKURI本部」を設立しました。MONOZUKURI本部がハブとなり、世界に広がるサントリー食品インターナショナルグループが持つ多数のブランド、技術やノウハウのシナジーを生み出すことで、新たな価値創出や既存ブランドの強化・イノベーションを巻き起こしています。

グローバルな開発連携

R&Dにおけるグローバルシナジー推進

森川晃好の写真
“R&Dにおけるグローバルシナジーをより発揮するために、
グループの相互理解・信頼を高めています”
森川 晃好 サントリー食品インターナショナル株式会社
執行役員 MONOZUKURI本部 R&D部長
R&D部、MONOZUKURI本部の役割

日本のR&D部の役割は、R&DのCenter of Excellenceとして、将来のイノベーションの源泉となる中長期技術開発を行うことと、リージョンの商品開発と連動したスピーディな技術開発を行うことです。
具体的には、各リージョンでの商品開発に対して、価値の源泉となるような素材や技術の提供や共同開発を行うほか、商品開発における様々な課題に対するソリューションの提供、技術交流によるシナジー創出推進などを実施しています。

グローバルシナジー最大化と真の現場主義

当部門は、従来の企画部門、商品開発部門、技術開発部門が2017年4月に統合され、MONOZUKURI本部のR&D部として発足しました。発足以来、各リージョンと緊密に連携を取ってきましたが、近年、多角的なソリューション提案を通じて、グループ間の信頼関係やコミュニケーションが大きく加速しています。
さらに現在は、R&D部門だけでなく、クロスリージョン部やリージョン事業部などのマーケティング部門と一体となったものづくりが実施できる新たな体制を構築しています。最終商品の開発は、その地域のお客様をより深く理解しているリージョンが主導権を持って開発を行うなど、それぞれが各現場でオーナーシップを持って取り組むことでシナジーの最大化を目指しています。

グローバルシナジーによる直近の成果

直近の成果として、2019年12月にオーストラリア、ニュージーランドで発売した「BOSS COFFEE」があります。BOSSブランドは日本で開発され、多くの技術知見やノウハウが蓄積されたブランドです。この知見を活かしつつ、現地のお客様の嗜好に合わせた香味をオセアニアの商品開発チームと連携しながら実現することができています。
また、2021年4月にはベトナムで「ALL-FREE」を発売しました。ビール事業の知見を活かして、リージョン商品開発、R&D部、ビール商品開発が連携することで、目標とする香味を実現することができています。

グローバル市場におけるアドバンテージ

サントリー食品インターナショナルグループは「水と生きる」ということを社会と約束している会社です。自然をいかに大事にするか、自然の恵みをいかに活用するか、ということをグループ全体で共有しています。私たちは自然の恵みを活かし、おいしさやリフレッシュメント、喉の渇きを癒す他、集中力を高めたり、リラックスさせたりなど様々な価値を持つ飲料を提供しています。
飲料は嗜好性の高い商品ですが、やはり基本は安全・安心そしてヘルシーであるということが一番大切だと考えています。「おいしさ」「健やかさ」「楽しさ」をベースにドリンキングライフに貢献し、サントリー食品インターナショナルの商品なら安全・安心だし、サントリー食品インターナショナルが言っているのならヘルシーだ、と世界の人々に信じてもらえるようになりたいと思います。そしてお客様の期待を絶対に裏切らない。信頼が一番大切だと思っています。そうした信頼こそがサントリー食品インターナショナルのグローバルブランドの確立に繋がっていくと信じています。

各国・地域の嗜好やニーズに合わせた商品開発

ASIA PACIFIC

サントリーブランドの世界展開
(ALL-FREE / BOSS COFFEE)

  • ALL-FREEの商品写真
  • BOSS COFFEEの商品写真
Phuong Thi Thanh Phamの写真
Phuong Thi Thanh Pham
Director, R&D
Suntory Beverage & Food Asia

近年のお客様の健康意識の高まりや、WHOがアルコール規制強化を重点課題としていることなどを背景に、アルコールを控える動きが世界的な潮流になっています。世界有数のビール消費国であるベトナムにおいても、ビール税率の上昇や飲酒運転取り締まり強化などにより、ノンアルコールビールの需要が増加してきています。
そこで、着目したのが日本のALL-FREEです。日本のALL-FREEは、アルコール0.00%・カロリーゼロ*・糖質ゼロ*・プリン体ゼロ**で、何も気にせず、いつでもすっきりリフレッシュできるビールテイスト飲料です。(*食品表示基準による。 **100mlあたりプリン体0.5mg未満をプリン体ゼロと表示。)
ゼロですっきりという価値は残しつつ、ベトナムのお客様の嗜好に合致するような香味を実現するために、日本のビール事業とR&D部、そしてベトナムの開発チームが協業し、ビール事業の配合・技術に関する知見を活かしながらALL-FREEの現地での製造を実現するための配合を設計しました。加えて、日本とは異なる製造インフラの制約がある中、製造に最適なプロセスの設計にも協業で取り組みました。食品事業とビール事業という事業会社の枠を超えた、また、日本とベトナムという地域の枠を超えたコラボレーション体制をとり、チーム一丸となることで、日本のALL-FREEが目指す“ぐっとくるのどごし”と“キレの良い後味”を突き詰めた爽快なおいしさをベトナムで実現し、2021年4月にモルト&ホップス味の炭酸飲料としてALL-FREEを上市することができました。
また、日本で多くのお客様にご愛飲頂いていますBOSS COFFEEにおいても、現地の嗜好に合致した香味を現地商品開発チームと連携しながら実現することができました。2019年12月よりオーストラリア及びニュージーランドで発売を開始し、2021年11年にはタイでも販売を開始し、現地のお客様から大変ご好評を頂いています。なお、BOSS COFFEEは、現在米国においても通信販売を中心に好調に展開中。
今回の開発体制を活かし、サントリーブランドをその地域で愛される形に進化させて、今後も世界各国へ展開していきたいと思います。

EUROPE

OASIS TROPICAL

  • OASIS TROPICALの商品画像
Catherine Hubertの写真
Catherine Hubert
Research, Development and Implementation Director
Suntory Beverage & Food France
藤原優の写真
藤原 優
サントリー食品インターナショナル株式会社
クロスリージョン開発推進部 課長

1966年にフランスで誕生したOASISブランドは50年を超えてフランスのファミリーに潤いと楽しさを提供しています。OASISは3世代にまたがって愛されているフランスの国民的清涼飲料でフランスでは誰もが知るブランドですが、近年は販売数量が伸び悩んでいました。OASISブランドをもう一度成長軌道に乗せるべく、マーケティング・R&D・パッケージデザイン・コミュニケーションの各領域で日本のブランドイノベーションの経験に長けた人材がフランスのOASISチームに参画し、日仏合同の商品開発チームでOASISブランドのコアSKUであるTROPICALのリバイタライズを行いました。(21年6月上市)
中味設計を担当する我々R&Dが着眼したのはターゲットユーザーである多忙なママのインサイトです。OASISの主たる飲用オケージョンである家の中で多忙なママがどんなことを考えているのかを理解するために、フランスの家庭を数多く訪問し様々な話を伺いました。フランスでは共働き世帯が約7割と高く、多くのママは仕事と家事と育児のマルチタスクを抱え時間に追われていました。そのような状況においても、家族とりわけ子供との団らん時間を大切にされており、その団らんの場にOASISブランドが数多く登場していることを知りました。
このリアルな現場の気づきから、我々R&Dはどんな美味しさでどんな気分を提供するかアイデアを練り、具体的なプロトタイプを作ってはターゲットに聞くというサイクルを繰り返し行い、中味をブラッシュアップしていきました。特に美味しさの設計においては、日本のR&Dの強みであるサイエンスアプローチを導入しました。OASIS TROPICALのどういう要素や成分がどのように感じられて美味しいと知覚されるのか、更にはまた飲みたくなる嗜好性がどのように形成されるか、サイエンスのアプローチを駆使して中味を設計し、調査で検証を重ねフランスで高評価を得る中味が完成しました。
サントリーのR&Dの強みは、ヒトを深く理解し、美味しさを深堀し、ブランドを磨き続けていくことです。今後は欧州内の展開だけでなく他のリージョンにも展開し、多くのユーザーに長く愛されるブランドをOne Suntoryで育んでいきたいと思っています。

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