美術館の設計を手がけたのは建築家・隈研吾氏。めざしたのは「都市の居間」としての居心地の良い美術館です。日本の伝統と現代を融合させた「和のモダン」を基調に、安らぎと優しさに溢れた空間を実現。外観は白磁のルーバー(縦格子)に覆われ、透明感すら感じさせます。館内には、木と和紙を意匠に用い、和の素材ならではの自然のぬくもりと、柔らかい光を表現しています。また、館内の随所で床材にウイスキーの樽材を再生利用しています。
展示室は3階と4階の2層からなり、3階には天井高9.3mの吹き抜け空間を設けました。隣の展示室との間は可動壁で隔てられ、襖や障子のように開け閉めすることで、多目的な空間利用が可能になっています。また、反対側の巨大なガラス面には、2枚の格子をスライドさせて光を調節する「無双格子(むそうごうし)」を設置。外光を遮断した展示空間から、緑溢れる外景を楽しむ憩いの空間まで、さまざまな演出が可能です。6階には、イベントを行うホールや、旧美術館から一部を移築した茶室「玄鳥庵(げんちょうあん)」を備えています。3階にはミュージアムショップとカフェが一体化したshop×cafe(ショップバイカフェ)も併設、観覧後に余韻を楽しんでいただく施設の充実を図っています。