兼好法師の随筆『徒然草』の全章段を絵画化し、原文もすべて詞書として有す現存唯一の大作絵巻。海北友松の子・友雪によって、兼好の美学が柔らかな色彩で象徴的に描き出されている。『徒然草』の絵画化は江戸時代に始まる。従来、初の徒然絵は、慶安5年(1652)頃に刊行された絵入注釈書『なぐさみ草』とされてきた。しかし、本絵巻の章段区分はそれ以前の刊本と一致し、『なぐさみ草』よりも制作時期がさかのぼり得る絵巻として貴重である。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)