源頼光と家来の四天王、藤原保昌らが八幡・住吉・熊野の諸神の加護を得て、鬼神・酒伝童子を退治する物語を描く。小田原北条氏の二代目・氏綱の発注によるもので、狩野派の二代目・狩野元信とその弟子が絵を手掛けている。緑青や群青などの濃彩に金泥を交えた豪華な描写が目を引く。酒伝童子は酒呑、酒顛などとも表記され、鬼の棲家を丹波大江山、近江伊吹山とする二系統に分かれるが、本絵巻は伊吹山系のなかで現存最古の例とされる。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)