長方形の箱二つを蝶番によって合わせた形式の双六盤で、Backgammon boardと呼ばれるもの。内部には朱漆と螺鈿によって上下十二区画に尖塔形を表し、ここに石を並べて勝負を競う。金の平蒔絵と絵梨子地風の銀の蒔絵と螺鈿で清水寺の景、住吉神社の社頭をそれぞれ参詣人とともに表し、どちらも隙間を植物文で充じ填するという南蛮漆器の特徴を備える。南蛮漆器の中でも西洋双六盤の本格的な作例は少なく、しかも本作は比較的状態が良いことでも貴重である。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)