江戸における切子ガラスの発祥は、加賀屋の手代で文次郎という者が、大阪の和泉屋嘉兵衛のもとで数年間修行を積み、天保五年(1839)金剛砂を使用してガラス面に彫刻を施すことを工夫したとされている。 現存する江戸期の切子ガラスは、その文様を詳細にみると、いずれもヨーロッパのカットガラス風の幾何学的な文様である。文次郎の切子細工も舶載のガラス器から多くを学んだものと思われる。 現存する加賀の引札には組重、食籠、蓋物、菓子皿、猪口、三組盃などの飲食器や文房具などが描かれ、およそ日常的なあらゆる分野にガラスが用いられはじめたことが分かる。(『サントリー美術館名品展 南蛮屛風とガラス』、熊本県立美術館、1984年)
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