しろじ べにきせ ろうかく ずいしょうもん ふたつき つぼ
乳白色ガラスに紅色ガラスを被せ、さまざまな吉祥文様を彫り出した一対の壺。石塀に囲まれた三重の塔からなる楼閣の上空を、籌をくわえた鶴が舞う。この図は「海屋添籌」といい、海上の仙人のところへ毎年仙鶴が籌を一本くわえてくるという伝説に基づいた画題で、長寿を祝う意味合いが込められている。鶴の傍には、天子に授けられる祭器の璧画瑞雲に乗ってやってくる。その下には、龍門の激流を登り、鯉が龍となって顔を出す、「魚跳龍門」(立身出世)の図が浮彫りとされている。龍の脇には巖岩が聳え、その上を蝙蝠が飛ぶ「寿山福海」の長寿の句意が表わされている。またその隣には、孔子が生まれる時、麒麟が玉書を吐いたとの伝説から「麒麟吐玉書」の図が彫られ、太平かつ繁栄の時代の訪れを慶ぶ図像が浮かび上がる。徳の高い親王の誕生や皇帝の長寿、そして王朝の安泰を願うがゆえの装飾だろうか、瑞祥文様に満ち溢れた壺である。(『ガレも愛した―清朝皇帝のガラス』、サントリー美術館、2018年)
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