むらさきいろ きくからくさもん はち
当時の技術では、《緑色葡萄唐草文鉢》(IV-2)や《紫色菊唐草文鉢》(IV-3)のように大きく外側に広がった口や高台のある形は、型吹き技法でなければ作ることができませんでした。型に吹き込んで成形した後、吹き竿から器を切り離し、口端部を研磨して整えています。葡萄唐草や菊唐草の文様は、文様部分を透彫状に打ち抜いた型にガラスを吹き込んで表現されているため、外側は凸状、内側は凹状になっています。型肌と繊細な文様が溶け合い、味わい深い表情が生まれています。 また《青色菊形向付》(IV-4)は、ゼリーの型のように、筋状の凹凸のある型にガラスを吹き込んで成形されています。型を使うことで、このように同じ形のものを複数作ることもできました。ガラスの澄んだ青緑色と相まって、型肌にはゆらめく水面のような美しさがあります。(『リニューアル・オープン記念展Ⅲ 美を結ぶ、美をひらく。』、サントリー美術館、2020年)
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