すみだがわ よる
小林清親は、江戸から東京へと移り変わる都市の景観を、「光線画」と呼ばれる独自の手法で描き出し、人気を博した。光と影、水の描写などに優れた感性を発揮した清親の光線画は、従来の浮世絵にはなかった独特の情趣を醸し出している。「隅田川夜」は、隅田川のほとりにたたずむ男女を描く。男の手には小田原提灯が握られている。対岸の家の明かりが水面に映り、情緒あふれる夕暮れ時の隅田川の景を伝えている。これらの二図には、光に対する清親の鋭敏な感覚が感じられる。(『美しの和紙 天平の昔から未来へ』サントリー美術館、2009年)
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