ちょうごんかえまき もほん
唐の白居易(772-846)、すなわち白楽天が806年に作った『長恨歌』は、日本において『源氏物語』などの王朝文学に多大な影響を与えた。楊家の娘が、時の皇帝玄宗の寵愛を一身に受けて楊貴妃となり、この世の栄華を極める。しかし安史の乱で命を落とし、これを嘆き悲しんだ玄宗がその魂を探し求めるという筋立てである。アイルランド・ダブリンにあるチェスタービーティー・ライブラリーには絹本に本格的に着彩された狩野山雪(1589/90-1651)による図巻二巻が所蔵されているが、この作品は紙本に淡く著色されたその忠実な模本というべき性格をもつ。当作品の巻末に「正保三年正月日 画所三十六◆(口+面) 狩野法橋 山雪」とあるが、筆者や制作年代に関しては、尚、検討を要する。各所に登場する山岳や岩の表現などには、模本ながら山雪特有の形態感覚がうかがわれ、壮大な叙事詩を描くドラマティックな画面構成は観る者に強く訴えかける。(『夢に挑む コレクションの軌跡』、サントリー美術館、2011年)
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