さんじゅうろっかせんず はりまぜ びょうぶ
絹本に描かれた三十六歌仙の肖像を金地の屛風に貼交ぜた作品。各画面には一図を除いた全てに「道薀」印が捺されており、岩佐又兵衛の作とする伝称がある。又兵衛およびその周辺で制作された三十六歌仙図には福井県立美術館本、仙波東照宮本、若宮八幡宮本などがあり、本図は「豊頬長頤」と呼ばれるそれらの又兵衛風人物の容貌や歌仙の姿態を踏襲している。ただし、一部に写しくずれや、筆勢が感じられない線などが見られることから、又兵衛よりも一世代以上後の弟子の製作と推測される。各歌仙の装束には金泥で細かな模様が描き込まれ、十分な費用と時間をかけて製作された様子がかがえる。本屛風と同じく、絹本に描いた三十六歌仙の肖像を金地の屛風に貼交ぜた作品が安芸市立歴史民俗資料館に所蔵されているが、安芸本の各画面は本作より10cm以上大きく、また各歌仙の歌を記した絹本の短冊がともに貼られている。本作品および安芸本はその形状から、もとは画帖であったと推測され、本作にも安芸本と同じく短冊が附属していたと考えられる。(『夢に挑む コレクションの軌跡』、サントリー美術館、2011年)
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