くじゃくず びょうぶ
右隻に雌雄の緑孔雀、左隻に雌雄と雛の白孔雀を描く。孔雀は毒蛇を喰うとされ、魔を払う力を持つと考えられた。右隻には菊先の白い花と赤い薔薇、左隻には八重咲きの白い花(蕾は赤い)と赤い躑躅が、紅白に取り合わされて美しい。白い花は葉の形から桃と思われる。詳しい品種は不明だが、花桃には白・桃色・赤、紅白の咲き分け、八重や菊咲きなど多様な 品種が既に江戸時代から存在した。左隻の菊咲きの白い花は、2005年に品種登録された「幸ホワイト」に近いようである。桃も、孔雀と同様魔を払う力があると考えられ、本来、穢れを払う行事であった桃の節供にふさわしい。八曲という大きな屛風であるが、大名屋敷などの広い座敷の桃の節供のしつらいに用いられたのかも知れない。作者の雲谷等璠(1635-1724)は、雲谷派の祖、等顔の孫で、萩藩毛利家に仕えて雲谷派宗家四代を継いだ。(『おもてなしの美 宴のしつらい』、サントリー美術館、2010年)
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