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コレクションデータベース

薄蝶螺鈿蒔絵香枕

すすき ちょう らでん まきえ こうまくら

数量・員数
一個
寸法(単位cm)
幅22.0 奥行12.0 高17.3
制作年代
江戸時代   17世紀

 香枕とは、髪に香を焚き込めるためのものである。横に引出しを付け、中に香を入れて焚き、天板は円形の、正面は源氏香の形に似た穴から煙を出す仕組みである。総体黒漆塗として、金平蒔絵で薄と蝶を描くが、蝶の羽には絵梨地や螺鈿を用いて華やかにする。細く線状の薄の中を舞う蝶は花弁のように優雅に羽を広げる。今日では春と結びつく蝶が秋草とともに描かれるのは意外な感じがするが、この意匠は『夫木抄』源仲正「はかなくも招く尾花にたはぶれて 暮れ行く秋を知らぬ牒かな」の歌意にまさに当てはまる。穂が垂れる薄のさまを手招きに見立てており、こてふ(胡蝶)の呼び名が「来てふ」(来てください)と通じることから、蝶にも同様の意味が掛けられた。(『「もののあはれ」と日本の美』サントリー美術館、2013年)

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