しんくろうど ものがたり えまき
ある中流貴族の家に、一男三女の子どもがいました。彼らを自由に育てたいという両親の教育方針により、三姉妹はそれぞれ自分の道を選択していきます。三女は、男装して生きることを望み、蔵人(天皇の側近)を務めていた兄と一緒に宮仕えすると、「新蔵人」と呼ばれるようになりました。やがて帝に正体が露見するものの、かえって珍しく思われた新蔵人は懐妊し皇子を産みますが、しばらくして帝の愛が冷め、新蔵人は尼となった長姉を頼って出家しました。以上の内容のうち、当館所蔵の一巻は物語の前半部(上巻)に相当します。15~16世紀にかけて流行した、縦が20㎝以下の小型絵巻を「小絵(こえ)」と言います。なかでも本絵巻はとりわけ小さく、縦が11㎝しかありません。墨線のみによって描かれた「白描」の小絵は、素人絵師による私的な作例と考えられ、特に女性筆者の伝承を伴うものが多くあります。男装の姫君という、性別の枠を飛び越えたニューヒロインも、女性の視点から生み出されたのかもしれません。文庫本サイズの絵巻ならば、女性の手にすっぽり収まります。(『リニューアル・オープン記念展Ⅱ 日本美術の裏の裏』、サントリー美術館、2020年)
作品名、作者名、制作地・様式などのキーワードで収蔵品の検索ができます
2024年 1月
2024年 2月
2024年 3月
2024年 4月
2024年 5月
2024年 6月
2024年 7月
2024年 8月
2024年 9月
2024年 10月
2024年 11月
2024年 12月
2025年 1月
2025年 2月
2025年 3月
2025年 4月
2025年 5月
2025年 6月
2025年 7月
2025年 8月
2025年 9月
2025年 10月
2025年 11月
2025年 12月