してんのうじ すみよしたいしゃず びょうぶ
摂津国の名所である四天王寺と住吉大社を一対に描く屛風である。同様の組合せの屛風において四天王寺を描写する際には南側から眺めた形で描くことが通例であるが、本図では西側からの視点で描く点が特徴的と言えよう。南大門、五重塔、金堂、講堂という主要伽藍が一直線に整然と並ぶ姿は屛風の画面の中にあっても壮観である。一方、住吉大社の景観は、とくににぎやかな祭礼描写を伴わず、境内全域に参詣する人々を細かくちりばめるように描写している。右から三扇分の画面にわたって海面に浮かぶ船や浜辺の人々が描かれ、航海の守護神として信仰を集めた神社にふさわしい構図となっている。樹木や遠山の表現などから筆者として狩野山雪の可能性が指摘されている。胡粉の盛り上げによって装飾された金雲によって、画面はより華麗なものとなっている。(『水―神秘のかたち』、サントリー美術館、2015年)
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