詞六段、絵五段よりなる秘画巻(春画)。離れ小島で、ある法師と秘戯を交した女性が、その僧に送られて太秦の東にある屋敷に帰るが、二、三日後、その僧を密かに局にひき入れ、再び情を交わし、他人に事が露見するのをおそれて、その法師を袋に入れて隠しおく。やがて事の次第を知ったこの家の主尼御前も、この袋中の法師と秘戯を交わす、というもの。男を袋に隠し、しかも袋に入れたまま交情を遂げるという、奇想天外かつユーモラスな秘画である。飛騨守惟久筆と伝えられる作品が徳川将軍家に所蔵されていたが焼失し、現在では模本によってのみ、その全貌が知られる。中でサントリー本は、詞書の書風も古様を伝え、模写年代も江戸初期を下らない善本と目されるものである。(絵巻小宇宙―絵の中に生きる人々―』、サントリー美術館、2000年)
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