はるなつ かちょう ず びょうぶ
右隻は桜と柳を中心に、鶯や雉子を遊ばせて春の景色を描き、左隻には藤が絡まる松を中心に据え、三光鳥や雉鳩を配して夏の景色を描く。勢いよく流れる渓流が左から右に流れ、画面に清涼感を与えている。金地金雲を背景に、水辺を取り囲むように季節の花や鳥を華麗な色彩で描く四季花鳥図は京狩野派の得意とするレパートリーであった。とくに筆者の狩野永納(1631-1697)は、狩野山雪の子であり、山雪の草稿を元に『本朝画史』を編纂したことでも知られるが、それらの著作からは、このような漢画系統の金碧濃彩花鳥画が狩野派の正統的な画様のひとつであると考えていたことが指摘されている。(『「もののあはれ」と日本の美』、サントリー美術館、2013年)
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