くまの ほんじ えまき
御伽草子における本地物は、仏菩薩や神の元の姿や前世を描いたもので、本作は熊野権現が天竺から垂迹した由来を描いた絵巻。「熊野の縁起」とも呼ばれている。摩伽陀国の千さい王は後嗣がなく、千人の妃を入れたが、やがて五衰殿の女御が懐妊する。九百九十九人の妃たちはこれを妬み、女御を殺害しようとはかるが、女御は臨終に際し神仏に祈請して山中で王子を生む。その後この山に住む上人が王子を見つけて育て、七歳になった時に王のもとを訪れ、すべてが明らかになる。王と王子、生き返った女御は日本に渡り、熊野の神となった。本作品の内容は安居院の『神道集』巻二の「熊野権現事」と題する同社の本地譚に最も近く、画風は伝統的な大和絵の手法によっているが、室町時代の絵巻によく見られる傾向として、稚拙な表現も見受けられる。詞と絵を交互に配する段落式で、全体の構成はバーク財団本に近いものと考えられる。(『絵巻小宇宙―絵の中に生きる人々―』、サントリー美術館、2000年)
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