さいぎょうものがたり えまき はくびょうぼん
平安時代後期の歌人として有名な西行(1118-1190)は、鳥羽院の北面の武士(俗名・佐藤義清)であったが、二十三歳の時に出家し、諸国を行脚しながら仏道と和歌の道に残る半生を費やした。この人生が人々の篤い敬慕を受けてか、鎌倉時代には既に、彼の行状を描いた絵巻制作が行なわれていたことが知られる。『西行物語』および『西行物語』を絵画化した「西行物語絵」は、写本、絵巻、版本などの形で大量に伝わっているが、本文の内容によって、①広本系、②略本系、③釆女本系、④永正本・寛永本系の四系統に分類することができる。本作品は、広本系にあたり、もと三巻であった絵巻の中巻が失われ、上下巻をそれぞれ二巻ずつに分けたものらしい。現状の第二巻と第四巻の巻末に記された奥書より、『多聞院日記』天正14年(1586)3月10日条に記された、墨絵の西行絵三巻がこの絵巻に相当することが知られる。相当急いで写した趣があり、詞書には当て字や脱字がみられる。何らかの絵巻の写しであると考えられる。(『「もののあはれ」と日本の美』、サントリー美術館、2013年)
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