すみだがわ ず びょうぶ
右から左へと隅田川が流れ、手前の桜の名所、墨田堤で思い思いに花見をする人々を描く。右端は能の「隅田川」ゆかりの梅若塚のある木母寺で、側には広重も描いた料理屋が見える。対岸は真先稲荷の辺り。中央には遠く富士が勇姿を見せ、その下辺りが今戸で、瓦窯や瓦を干す様子を描く。少し下流に今戸橋が見え、隅田川を溯ってきた客はここから山谷堀へ入って吉原へと向った。その上の小高い森は待乳山聖天。更に下流には遠く浅草寺の本堂・五重塔・仁王門・雷門が望まれ、その先に吾妻橋が見える。屛風左端には白髭神社や、桜餅で有名な長命寺、土手下の鳥居が著名な三囲稲荷など名所が奥へと続いている。鍬形蕙斎(1764-1824)は浮世絵師、北尾重政の門人で初め北尾政美と称し、寛政6年(1794)、津山藩の御抱絵師となって鍬形蕙斎と改めた。(『水と生きる』、サントリー美術館、2007年)
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