いつくしまみほのまつばらずびょうぶ
右隻には駿河国の三保の松原を、左隻には瀬戸内の海に臨む厳島の景を取り合わせた名所図屛風の作例である。三保の松原は、今の静岡県清水市清水区三保付近の海岸であり、古来、歌枕として親しまれ、羽衣伝説ゆかりの地として名高い。厳島は神の地として崇められるとともに瀬戸内海の交通の要衝として栄えた。三保松原図では、中央上方に大きく富士山、その手前に旅の行列、左手に清見寺を配し、松原には御穂神社の手前に緋毛氈を広げて野外の宴を楽しむ一行が描かれている。厳島図は《厳島天橋立図屛風》(絵画-26)と同じく、大鳥居から島を見た景観が捉えられ、画面各所には拝観者を中心に様々な人々が描きこまれている。(『水―神秘のかたち』サントリー美術館、2015年)
作品名、作者名、制作地・様式などのキーワードで収蔵品の検索ができます