むさしの ず びょうぶ
「行く末は空もひとつの武蔵野に草の原より出づる月影」(『新古今集』)など、数々の和歌に詠まれた武蔵野は、とくに近世に入ると屛風の主題として人気を博した。画面は上方の金雲、中央の薄・萩・菊・桔梗などの秋草の素地、下方の緑青による地面の三層に区分され、左右両隻にそれぞれ富士山と満月とを配置する。近世以前の扇絵の趣向を取り込みながら、自然描写に関しては写実性よりも装飾性が優先され、構図は明快さをきわめている。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)
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