はな もよう えんぽう ごろ
《花模様》は清親の数少ない美人画のシリーズで、慶長年間(1596~1615)から天保年間(1830~44)までの十期を取り上げ、各時代を代表する女性を描く。いずれも大判錦絵三枚続のワイド画面に大首絵の女性を大きく配した大胆な構図となっている。また、絵や時代に因んだ俳句や狂歌が添えられている。各所に空摺や正面摺などの凝った摺技術が多用されており、本シリーズに対する清親と版元の力の入れようが伝わってくる。 No.111(《花模様 延宝頃》)は目録に「香の枕楽寝の図」とあり、香を焚いた枕に手を置いて寝そべる垂髪の女性像となっている。背後の衝立には、延宝年間(1673~81)頃に役者絵で評判を得ていた鳥居派風の筆致で、歌舞伎の場面が配される。色紙形には「古代大津絵」「聖人の教えを聞かず ついに身をほろぼす人の しわざなりけり」という教訓が記されている。本来は猫と鼠が酒盛りをする大津絵とセットになった道歌であるが、本作では猫と鼠が省略され、酒の入った瓢箪のみが描かれる。「瓢箪足、蚯蚓がき」と称された鳥居派の描法を意識したものであろう。(『リニューアル・オープン記念展Ⅰ ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』、サントリー美術館、2020年)
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