せとぐろちゃわん めい そせき
黄瀬戸と同時期に美濃で瀬戸黒(せとぐろ)の茶碗が作り始められた。 唐物から離れた独自の造形を示す美濃の瀬戸黒は、引出し黒の艶やかな黒色を呈し高麗茶碗に源流を持つ半筒形を採用する。引出し黒は、焼成中に茶碗を引出して急冷させ、本来茶褐色に発色する釉を黒色とする技法で、織部黒、黒織部、樂の黒茶碗などの桃山茶陶に展開する。本品は縁をほぼ垂直にし、口縁を僅かに開き、口造りには大らかな歪みを造る。胴には捻り上げる時の太い轆轤目を残し、高台は低く削り出して、高台周りを残して全面に黒釉を掛ける。裏千家11代玄々斎宗室(1810-77)の箱書があり、「礎石」の銘が与えられている。(『日本のやきもの千二百年 奈良三彩から伊万里・鍋島・仁清・乾山』サントリー美術館、2001年)
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