江戸時代の化粧は、白粉化粧の白、眉化粧・お歯黒の黒、紅化粧の赤という三色を基本に構成される。紅化粧は華やかな彩を与え、口紅のほか、頬や爪、目元にも施された。紅板は外出先の化粧直しに用いられたと考えられる携帯用の口紅。紅を厚紙・板や薄型の容器に塗った紅板と、紅筆、さらに白粉と刷毛がセットになったものもある。帯や袋物の中に入れて携帯し、紅は水をふくませた筆や指で塗った。紅板の容器は、意匠に凝った美しい細工のものが多く、金属製や象牙製、木製に蒔絵が施されたものなどさまざまで、『伊勢物語』や『源氏物語』、和歌など古典文学を題材にした意匠も数多く見られ、女性たちの持ち物へのこだわりや個性が感じられる。 本作は扇形、被蓋造の紅板で蓋表には金蒔絵で流水に燕子花と板橋の文様を描き、『伊勢物語』「東下り」の八橋の場面を表わす。蓋の側面には金蒔絵で七宝繋文を表わし、内部は紙貼の上、詰梨地としている。(『歌枕 あなたの知らない心の風景』、サントリー美術館、2022年)
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