てんぶぞう とうぶ
両手でそっと包みたくなるような小さな仏頭です。その制作年代は平安時代後期まで遡ると推定されますが、無残にも頭部だけとなった今でも往時の気高さを失っていません。 本像はもともと、天部に属する吉祥天など、仏教の女性神を表したものと考えられます。頸部に刻まれた三道と呼ばれる3本の皴は、本像が仏であることの証です。 360度眺めると、張りのある切れ長の目、品よく尖った小さな鼻、きゅっと引き締まった唇、ふっくらと張った頬、豊かに束ね上げられた髪など、造形的な美しさに目がとまります。その顔には特定の感情の発露がないためでしょうか。何度も見つめていると、赤子のような無垢さ、少女のような可憐さ、大人の女性が持つ厳めしさなど、その時々で印象が変化するように感じられます。まさしく、見る者の心の機微を映し出してくれる作品と言えます。(『サントリー美術館 開館60周年記念展 ざわつく日本美術』、サントリー美術館、2021年)
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