のうめん こおもて
小面の「小」は若いとか愛らしいという意味で、能に用いる女面のうち最も若い面をいう。面裏には緑青を塗った「天下一 是閑」の焼印があり、世襲能面作家の家系、大野出目家の祖、是閑吉満(?~1616)の作と知られる。桃山時代には織田信長や豊臣秀吉など、時の権力者が優れた職人に「天下一」を称すことを許した。面打ちの角坊は秀吉の命で肥前名護屋に下り能面を模刻した功で、文禄2年(1593)「天下一」の号の朱印状を与えられ、是閑は文禄4年(1595)、やはり秀吉から朱印状を与えられたと言う(『大野出目家伝書』)。「天下一」の称号のとおり、初々しい少女の表情をたくみに表現している。(『NHK大河ドラマ特別展 天地人―直江兼続とその時代―』サントリー美術館ほか、2009年)
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