わかまつ おりづる もよう つつがき ふとんじ
藍地に白上げで若松と折鶴を表した蒲団の表地。若松は小松とも称すが、平安時代、正月初子の日に長寿を祈って小さい松を根ごと引き抜いて遊ぶ「小松引」が行われた。本作品の松も良く見れば根がついており、小松引で引いた根曳きの松と知られ、長寿を寿ぐ吉祥文様である。折鶴は今でも最もよく知られた折り紙の造形であるが、その名の初出は元禄13年(1700)の『常盤ひいながた』といわれ、折鶴の絵も紹介されている。贈答用熨斗包みなど儀礼的折形から派生したのが遊戯的な折り紙で、既に江戸中期には鶴・虚無僧・括り猿などが広く普及する。特に長寿の瑞鳥である鶴を象る折鶴は人気が高く、様々な折り方が創出され、折り方を掲載した多数の版本が出版された。浮世絵にも折鶴が表された作品が多数見られ、人々の生活のなかに馴染んでいた様子が窺える。染織品の意匠としても、熨斗文様同様にしばしば用いられることとなる。(『筒描―幸を祈る藍、福を招く布』、サントリー美術館、2003年)
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