しゃりん いんかもん おおつぼ
常滑窯は、12世紀前半頃、猿投窯の技術を受け継いで、愛知県知多半島に成立し、焼締陶を焼いた中世窯の中でも生産量を誇り、各地の窯に影響を及ぼした。本品は、広口で頸は緩やかに立ち上がり、肩を「く」の字に強く張って裾を直線的にすぼませる算盤珠の形状で、N字状に折り返す口縁は、鎌倉期の常滑の特徴である。頸から肩周りに自然釉が掛って緑色を呈すが、特に片側の口縁から底に向かっての釉なだれは見事である。肩周りには五本骨の源氏車の印花文がほぼ等間隔で九つ並ぶ。赤褐色の胎土は固く焼き締まり、全体的におおらかに歪みを見せる。(『日本のやきもの千二百年 奈良三彩から伊万里・鍋島・仁清・乾山』サントリー美術館、2001年)
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