おりべ あし に おもだかもん とくり
細い首、小さい肩、控えめに膨らんだ円筒形の胴を持つ背の高い徳利。水平に開いた口の縁を少し立ち上げ、肩には細い櫛目が廻る。胴の裾を直線的に面取して姿を引き締め、底は中央を浅く削った碁笥底(ごけぞこ)としている。 口縁から肩にかけて澄んだ萌黄色を呈する緑釉が掛けられており、中でも鮮やかな青緑に発色した釉が、雫のように一滴流れ落ちている様子が見どころとなっている。全面に長石釉を掛け、鉄絵で胴の片面に葦、他方に沢瀉をおおらかな筆致で描いている。 なお、本作を収める箱の蓋裏には、発掘で見いだされたものであること、近代数寄者の松永耳庵(じあん)が昭和7年(1932)8月に求めたことなどが記されている。(『リニューアル・オープン記念展Ⅰ ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』、サントリー美術館、2020年)
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