くろ りんずじ たからづくし たけ もよう こしまき
腰巻は上層の武家の夫人が夏季に用いた礼装である。形式化した武家の服飾を示す特異な例といえる。小袖の上に着た打掛の肩を外し腰に巻きつけた着装の穂方が、江戸時代に入り、さらに進んだかたちとなる。打掛に替わる黒や黒紅地に細かい刺繍を一面に施した小袖形の袷の衣装が腰巻で、袖を通すことなく、肩を脱いだかたちで用いられる。夏の衣装である帷子の上に幅の狭い付け帯を結び、その両端に芯を入れる。そこに腰巻の両袖を通して、背中の左右に張り出させ、あたかも蝶が羽を広げたように着付けた。腰巻の模様は宝尽しを全面に多数縫い表すものが多い。本作は、黒綸子地に右裾および右袖から左肩にかけて、竹が多数配置されている。白、萌葱、薄茶色などの色糸の刺繍により、伸びやかに表現された竹は、腰巻の模様らしくないと思われるが、こうした大きな形象で表現された違例も散見される。腰巻としては古式の模様構成といえる。竹の他は、腰巻の模様の特色である、宝尽しの吉祥模様が散りばめられている。橘、宝珠、七宝、分銅、小槌、隠れ蓑、宝袋、丁子、根引き松が精緻な繍法で表されている。(『日本を祝う』サントリー美術館、2007年)
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