あしつきはい こんちゅう
花器「かわせみ」(ガラス377)と同様に、1889年に発表された黒色ガラスによる〈悲しみの花瓶〉シリーズのひとつ。胴部には、スズメガ、カミキリムシ、バッタ、カメムシと思われる昆虫が彫られている。ここに表わされた昆虫は、樹木を食い倒したり、動物の死骸から成虫になるなど、いずれも不吉な連想をさせる類のものである。高台の底面には、羽根を広げて闇夜を舞う夜蛾の浮彫りとともに、ウィリアム・シェークスピア(1564-1616)の詩の一節「丘を越えて、谷を越えて Par dessus la Colline, Par dessus la Vall ée, Shakespeare」が彫られ、陰鬱な気分を強調する。中国ガラスにインスピレーションを得た黒色ガラスの素地を使いながら、おそらく自身の所有する鼻煙壺を参考として、中央のスズメガの構図を考案した可能性が考えられよう。基底部に彫られた「E≠G」のサインは、落款を想起させる。(『ガレも愛した―清朝皇帝のガラス』、サントリー美術館、2018年)
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