しだもん はち
代々職人芸術家の家系に生まれたデコルシュモンは、父が彫刻の教師を務めるパリ装飾芸術学校で主に風景画を学んだが、パリの両親の家に小さな陶窯を作り、陶器制作の研究を重ねた。特に炻器において釉薬と炎によるぼかしを探究した彼は、花や葉をモチーフとした器を作るなどしていた。その後1902年頃から次第にパート・ド・ヴェールによる作品に取り組むようになり、1905年までに、彼の制作は完全にガラス素材に移行されている。当初の作品は光を取り込み、色彩豊かで薄手の半透明な器だった。花や昆虫といった自然をモチーフとした繊細な造形は継続したが、1912年頃より厚手で彫刻的な装飾を伴う作風へと展開する。このシダ文鉢は、おそらくこの展開後の作品で、小品ながら調和の取れた色使いが特徴的である。(『没後100年記念「エミール・ガレ」展』、サントリー美術館、2004年)
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