かえで くさばな らでん まきえ びつ
南蛮漆器の主要品目である西洋式の櫃。現在は「洋櫃」と呼ばれる。一般的には海賊の宝箱のように、直方体の身に半円筒形の蓋を蝶番でつなぎ、錠金具と提鐶を付けるが、下方に引き出しを設けたものもある。16世紀後半から17世紀初頭にかけて主に欧州へ輸出され、豪華な家具や聖遺物箱として宮殿や教会を飾った。天板に提鐶をつける小型の櫃から、人がひとり入れそうな大型の櫃まであるが、本品は中間的な大きさ。黒漆地に、金平蒔絵の「南蛮唐草」や螺鈿を線状につないで区画を作り、区画のひとつひとつに金銀の平蒔絵と螺鈿を用いて朝顔・桔梗・夕顔・楓・桐・椿といった植物文を詰めこむ。内部は黒漆塗り、蓋裏は金平蒔絵で葛の文様を描く。(『japan蒔絵―宮殿を飾る 東洋の燦めき―』、サントリー美術館ほか、2008年)
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