じゅうそうかき さらまんだー
ふたつの透明ガラスを重ね合わせた重層ガラスの杯で、基底部の年記が示すとおり、1889年万博出品モデル。パリの高等技術専門学院附属美術博物館所蔵の類例には蓋があり、本作品も本来蓋付だったと考えられる。無色透明ガラスの器の外壁に紋章化したサラマンダーの文様や、フランス王家の紋章「フルール・ド・リス」を描いてから、一回り大きな器に嵌め込み、外側から唐草文をエナメル彩色する。自国に根付いた文様に、唐草文、巴文などの東洋的な意匠を取り入れつつ、違和感なく纏め上げている。重層ガラスは、18世紀のボヘミアで復活した成形法だが、ガレはこれについて、1889年パリ万博の出品解説書の中で、それとは異なる方法を用いたことを、次のように語っている。「内側のカプセルは、もうひとつのカプセルによって不明瞭な色合いになるため、エモー・ビジュー[金属箔を溶着してから、半透明や無色のエナメル彩を施す技法]によって装飾されています。そして外側となるカプセルに嵌め込むのですが、その結合線は、不透明エナメル彩による装飾によって、完全に覆い隠されています」。(『オルセー美術館特別協力 生誕170周年 エミール・ガレ』サントリー美術館、2016年)
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