かき とんぼ
本作品は、山林での蜻蛉たちの様子を表わしながら、自然界の摂理と輪廻をテーマとしたのであろう。正面に大きくあしらわれた蜻蛉、背面の山うどに群がり食する小さな昆虫、そしてまたこれを糧とする蜻蛉。見る者は器の周囲を巡りながら、何気ない自然の日常を垣間見ることになる。正面の線彫りの蜻蛉は、ペルル・メタリックという技法を用いて素地にプラチナ箔が挟み込まれるが、よく見ると、背後に大きくのしかかるように彫られた蜻蛉の輪郭が折り重なっている。単に二匹と言うよりむしろ、一匹の蜻蛉の光と影、生と死(生霊)が表わされているようだ。小さな生命の営みの中に、自らの生を投影し、心震えるガレの深遠なる目線が感じられてならない。また片手で碗を作ったような形態は、1895年頃にガレが盛んに制作した中国風の船形鉢の形か、あるいは日本の沓茶碗から派生したとも考えられよう。(『オルセー美術館特別協力 生誕170周年 エミール・ガレ』サントリー美術館、2016年)
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