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装飾性の高いヴェネチア製のガラス器は、16-17世紀を通じ、ヨーロッパの王侯貴族にもてはやされた。しかし本場ヴェネチアでは、無色透明ガラスの展性を生かしたフォルムが追求されたため、より軽快で洗練された器へと移行するようになる。「ファソン・ド・ヴニーズ[Façon de Venise=ヴェネチア様式]」と呼ばれる豪奢なガラス器は、ヴェネチアを離れ、近隣諸国に流出したイタリアガラス職人たちによって盛んに製作されたもの。本来ヴェネチア・ムラーノ島から出ることを禁じられていた職人たちも、好条件で雇用される王侯の元に流れ、各地で製作し、貴族たちの酒宴を演出していった。本作は、おそらくこのような、ファソン・ド・ヴニーズと呼ばれる部類の酒器である。((『ガラスの酒器・ヨーロッパ―ローマン・グラスからアール・デコまで』、サントリー美術館、2003年)
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