だいやもんどぽいんとほりふたつきごぶれっと
おそらく聖餐杯の形を模した、ヴェネチア製と考えられてきた杯。「聖餐」はイエスの血と肉を象徴するパンと葡萄酒を信徒同士で分かち合う儀式で、聖餐杯はその際に使われたワイングラスのこと。聖餐杯として使用されてきたとすれば、神の下にともにあることを誓い合う場面に登場しただろう。ただし、近年、無色透明の類例がスペイン・カタルーニャ製とされ、用途は菓子入れとの見解もある。ヴェネチアの伝統工芸のひとつ、レース編みの風情を再現しようと、1530年頃から使われ始めたダイヤモンドポイント彫りで、丹念にレース文様が彫り巡らされている。均整のとれた優雅な佇まいが美しい。(『Drinking Glass―酒器のある情景』サントリー美術館、2013年)
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